不況を乗り切る 営業マン・クリニックの現場から -自分が変わる、業績が変わる- 第6回
住宅新報 2009年5月12日 号 12面
あいまいさが招く営業不振
不動産業は人間業である。営業マンの人間性や信頼性が厳しく問われる仕事である。だから不信感を持たれたりすると、失敗する頻度が高くなる。
挫折し二度と浮上することが難しくなることもある。その意味では営業マンの日々の活動は自分を磨く修練の場でもある。4カ月ゼロの状態
Nさん(28才)は中堅の営業マンになっていたがヤル気も、学ぼうという意欲も無くなっていた。4カ月ゼロの数字が続いていた。
営業の制度疲労とも言うような壮大なマンネリのまっただ中にあって精彩の無い自分にも嫌気がさしていたのである。
ますますお客様の生の声も遠くなり、かつては優秀営業マンであったというささやかな栄光の痕跡を思い起こしては、過去の経験やカンに頼る日々が続いていた。
最近このNさんのように目標が不明確で、焦点の定まらない営業マンが目立って増えてきているようだ。彼らに共通しているのは、お客様や仲間に対する「他者への関心」の薄さと、一歩でも前に動こうとしない「腰の重さ」である。
相手をしっかり見据えてその息づかいがはっきりと聞こえる場に、身を置くということが無いのである。
Nさんの本音で語る相談内容は「強い意志を持ちたい」「自分の主張をはっきりさせたい」「一時的には数字が上がるがそれを続けていきたい」「すぐに嫌な事を後回しにする自分を変えたい」であった。
これまで誰にも言えなかった心の底に沈殿していた思いを堰を切ったように吐き出し始めた。意志の弱さ克服
Nさんは日頃より鬱屈していた言葉のマグマを小出しに噴火させることで少しずつ冷静になり、本当の解決するべき問題が整理されてきた。一つずつあいまいだったものが明確になってきたのである。
Nさんは(1)意志の弱さを克服し、自分にはっきりした主張を持つ為に今何をすべきかを明確にリストに書き込むようにした。そして、そこに行動すべき優先順位と必要性を常に考え、日々の営業行動目標の第一とした。それはあいまいな日々と自分から極力決別するようにしたのである。(2)継続性の欠如は考え方のフレーム(視点)を変える事で対処した。今日の仕事の結果から必ず明日に繋がるヒントや材料を見つけるようにしたのである。(3)いつも後回しにしてしまう癖は気持ちの根っこのところで対立を避けるNさんの優しさにあった。それが彼の弱さになっていたのである。それは自分の課題であった自分の意志の弱さを克服する過程で改善されていくことになる。
Nさんの自分を磨く修練の場は今日も明日も用意されている。それから2カ月後、元気でヤル気に満ちたNさんの報告が嬉しかった。「今は営業が本当に楽しいです。お客様から最近頂いた紹介のお客様で契約が一本決まりました。続けて頑張ります」
JRC社長
斉子
典夫













