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スタンダード会員限定トラブルを未然に防ぐ! 不動産調査の実務ノウハウ(53) 塀と擁壁とは微妙に違う! 建物の存在に注意

住宅新報 2009年5月5日 号 7面

 ブロック塀と擁壁の違いは何だろう、と疑問に感じる読者がいると思います。

 こんな事件がありました。

 81(昭和56)年4月16日、東京高裁は、控訴人が「被控訴人の競落に先立ち、元所有者から本件塀に使用されている深岩石(約2500本、大谷石より硬い性質)全部を動産として買い受け引き渡しを受けたのであるから、深岩石ないし本件塀の所有権は控訴人に帰属する」と主張しましたが、「本件塀に使用されている個々の深岩石は、本件塀の構成要素となり、全体として本件塀を構成し、また、本件塀は本件土地に定着し、継続的に本件土地に定着させて使用することがその取引上の性質となっていると認められるから、本件土地を競落してその所有権取得登記を経由した被控訴人は、本件塀の所有権をも取得したというべきである」と判示しました。

 明認方法を講じない限り所有権取得を第三者に対抗できないのです。

 不動産売買をしようとする場合、敷地の所有権としての範囲を見極めるためには、敷地周囲のブロック塀やコンクリート塀があれば、買主にとっても取引対象部分の範囲を理解しやすく、ブロック塀などは土地の定着物として一体となって取引されます。

 この事例では、ブロック塀は敷地境界を明らかにするためだけではなく動産としての価値が高いため、訴訟になったものです。

 建築基準法第2条では「建築物の定義」をしています。

 建築物とは、「土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設をいい、建築設備を含むものとする」。

 これを簡単に述べますと、「ブロック塀は建物に付属する建築物」です。

 建物に付属していないときは建築物ではなくなるため、建物を解体などして滅失すると、ブロック塀は建築物ではありません。

 建物に付属する塀は、高さは2.2メートル以下とし、高さが2メートル以下の塀の場合は壁の厚みを10センチとするなどの建築規制を受けますが、建物のない塀は建築確認が不要です。

 一方、擁壁については、「建築物ががけ崩れ等による被害を受ける恐れのある場合においては、擁壁の設置その他安全上適当な措置を講じなければならない」として、土砂が流出するのを防護する、いわゆる『土留め』のようなものが擁壁とされています。

 「擁壁が土地の定着物」という意味では塀と同じですが、擁壁は建物がなくとも高さが2メートルを超える場合は建築基準法による規制を受けます。

 似ていますが、ブロック塀と擁壁は微妙に違うところがあるため注意が必要です。(エスクローツムラ代表取締役・津村

 重行)

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