西村建設 老朽社宅をリノベーション ペット共生賃貸に
住宅新報 2009年4月28日 号 17面
総合建設及び不動産コンサルティング事業を手掛ける西村建設(東京都墨田区)はこのほど、自社所有の老朽賃貸マンションをリノベーションし、ペット共生型賃貸マンション「ライヴス行徳」(千葉県市川市)を完工させた。総戸数は12戸。間取りは2LDKと3LDK。家賃は、周辺相場と比較して2割程度高めと強気の設定にしたが、完工から1カ月で満室となった。物件のキーワードは、「ペットを含めた家族とのコミュニケーション」と「本当に役立つ収納」。同社の西村哲常務取締役は「女性の心をつかむ、生活の機能を重視した」と話す。築28年
1カ月で満室に
同物件は、鉄筋コンクリート造り4階建て。立地は東京メトロ東西線行徳駅徒歩約5分の住宅街にある。以前は金融機関の社宅だった。80年に完工して以来、同金融機関が一括借り上げをしていたが、08年8月に契約が満了し空き物件となった。
それを受けて同社は、有効活用策を検討。建て替えた場合は、多額の解体費用がかかるものの、地域の規制があるため、現有規模程度の建物しか建てられないことから、リノベーションを選んだ。
着工に当たり、物件のコンセプトを練り直した。エレベーターが設置されていないことなどから、入居者ターゲットを幼児以上の子を持つ世帯及びDINKSに設定。改修工事ではスケルトン状態に戻したうえで、防水やひび割れの補修、汚れにくい外壁塗装などを施した。躯体性能を高めることで、将来の出費を抑える狙いだ。
内装は、収納スペースを従来の2倍以上とし、一部の住戸には布団も収納できるウォークスルークローゼットを設置したり、造り付けの棚を随所に設けるなど、使い勝手も高めた。
間取りは、従来の和室の居室からなる3LDK及び3DKを、キッチンから居間や居室を見渡せるような開放感のあるLDKとした。引き戸の活用で可変性を持たせた住戸もある。
床材には傷つきにくく、滑りにくいクッション性のあるCFシートを採用し、ペットと飼い主の快適性も追求。ペット専用のトイレスペースを設け、室内扉にくぐり戸を取り付けた。
西村常務は「デザインよりも、収納の充実やペットを含めた家族のコミュニケーションを深める工夫を重視した」と話す。
一方、設備への投資は最小限にとどめ、コストを抑えた。従来のサッシを生かしたほか、ガスコンロ、洗浄器付便座も設置しなかった。物件を見学した不動産業者からは「ここまでリノベーションしてなぜ最新の設備を付けないのか」と疑問を呈されたが、一般の内見者からはそうした質問は一切なく、「ギャップを感じた」(西村常務)という。「食器洗い乾燥機など、最新設備のグレードにきりはなく、新築物件と比較してどうしても見劣りしてしまうし、自分で取り付けたいという入居者の希望もある」と西村常務。女性の心をつかむための暮らしの提案で差別化を図ることにした。
家賃は12万8000円から13万7000円。ペット共生型という特徴に加え、平均専有面積が約65平米以上という広めの物件に希少性もあり、1カ月で満室となった。契約者の中には、単身者や姉妹でシェアする入居者もいる。
ただ、入居者募集に当たって困惑する場面もあった。物件サイトなどインターネットで物件を探す入居希望者が増える中で、築年数を条件に検索すると対象外となってしまうことだ。「今後、リノベーション物件という検索項目も必要ではないか」と西村常務は提案する。
同物件の年間賃料収入は約2000万円。総事業費は約1億円。
同社では「既存の物件を生かし、長期にわたって安定した収益を生む成功事例だ」(同常務)としてオーナー向けの見学会も実施、約20組が参加した。今後、同物件をモデルケースにオーナーへのコンサルティングも強化したいとしている。













