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スタンダード会員限定視点 良質な住まいとは何か 『夏休み1カ月』の会社が出した結論

住宅新報 2009年4月21日 号 14面

 定期借地権住宅に思い入れが深い宮本篤・シティサイエンス社長は創業当時から、住まいの良質さとは何かを考え続けてきた。

 定期借地権で土地取得代がいらない分、広い住宅を提供すればいいのか。しかし、何平米以上が広いといえるのか分からない。最新の豪華な設備を入れればいいのか。ところが近年はあっというまに、最新の設備が陳腐化してしまう。

 試行錯誤の末、暫定的にたどりついた結論が<コミュニティ>だ。住まいは人が幸せになるためのものだが、幸せは人と触れ合うところから生まれてくるという当たり前のことに気がついたという。何が幸せなのか「少し記憶をたどれば、ほんの数十年前までは家族は全員そろって食事をすることを団らんとし、向こう三軒両隣はお互いを見守りあい、セキュリティシステムがなくても不安を感じない社会があったはず」(宮本氏)。だから、コミュニティを阻害するものを排除していけば、良質な住まいづくりにつながるのではないかと考えた。

 人と人が接するのは結構難しいこと。だからこそ、住宅開発にはさまざまな『仕掛け』が必要になる。欧米人のほうが、そうした仕掛け=コミュニティ・デザインの重要性をはっきりと認識しているようだ。

 アメリカの郊外型団地「ビレッジホームズ」は、郵便ポストを個々の家の前ではなく、わざと集合ポストを設置しているという。

 シティサイエンスが手がけた「ビレッジガルテン」はこれまでに5カ所。ドイツの「クラインガルテン」がモデルとなっている。緑豊かなコモンスペース(共有の庭)があり、そこで住民同士がさまざまな交流(イベント)を家族ぐるみで行う。

 「最初のころはコモンスペースがあっても、よその家の前でウロウロしていたら悪いのではないかと思ってしまうのか、せっかくの共用庭なのに誰の姿も見られなかった」(同)という。

 そこで、NPOをつくり、バーベキュー大会など住民同士の交流を支援したら大成功を収めた。その後は住民たち自らいろいろなアイデアを出すようになった。住民の交流基本

 人はやはりコミュニケーションを求めている--それに気づいたことが、今年10周年を迎えたシティサイエンス最大の財産といってもいいだろう。

 ところで、シティサイエンスといえば、業界では夏休みが1カ月もあることで知られる。豊かな人生を手にするためには、時間のデザインが重要で、中でも働く時間を見直すことが大切だと考えたからだ。

 不動産がよく動く春と秋に効率よく働き、夏はまとまった休暇をとって思いっきり羽を伸ばす。それで年間の収益が達成できるなら2カ月でも3カ月でも休暇は手に入れられるという発想だ。

 もちろん現実はそう簡単にはいかない。だから、現状は、休みは1カ月と長いが収入は12分の1減る。それでも社員は長い休暇が取れる方を選択した。真の豊かさを探すためだ。

 例えばある社員は1カ月を「全国の親戚を尋ねる行脚」に使った。既成概念にとらわれない経験が、住まいとは何かという問いに新たな答えを見出す可能性も秘めている。

 (本多

 信博)※シティサイエンス(株)

 設立=1999年

 資本金=1億8920万円、本社=大阪市中央区本町4の1の7大阪第2有楽ビル3階、電話=06(6260)5555

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