高齢者施設にこそ信託の活用を 事業者倒産でも安心
住宅新報 2009年4月14日 号 12面
有料老人ホームなど介護事業者が倒産し、入居していたお年寄りたちが行き場を失う悲惨なケースが増えている。事業者に支払われる介護報酬が06年度に引き下げられ、事業者の経営を圧迫しているからだ。
その反省から09年度改定では緊急対策で同報酬が3%引き上げられるが、効果については懐疑的見方が多い。本体のサービス価格にはほとんど変更がなく、質の高い事業所へ加算する方式となる。そのため複雑で、かつ加算されるためには資格者の増員など新たなコストが必要になりそうだ。
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有料老人ホームが倒産すると、入居者が退去を迫られることもあるのはなぜか。それは入居契約が賃貸借ではなく、利用権方式のところがほとんどだからだ。その点、近年注目されている高齢者専用賃貸住宅は借家法に基づく賃貸借契約だから利用権よりは強い。破たんしたオーナーが物件を第三者に譲渡しても居住権は確保される。注目される所有権方式
その借家権よりも強いのが所有権だ。ここにきて、分譲方式の施設が見直されている理由がそこにある。その形態の一つが介護専用型有料老人ホームの「参里中央システム」である。
入居者がオーナーだから万一介護事業者が倒産しても別の事業者に運営先を変更すれば済む。サービス内容に不満があれば改善を申し入れることもできる。
参里中央(株)が推進する同システムは介護事業者として医療法人を計画しているのも特徴だ。減損会計が始まったため、病院がオンバランスで介護事業に参入するのは難しいが、事業資金をSPCで調達することにより、オフバランス化も可能となる。入居者にとっては、地元の信頼できる医療機関に運営を委託することができる。
システムを簡単に説明しよう。まず、事業主は土地・建物を信託会社に信託する。信託会社は建物を地元の医療機関など介護事業者にサブリースするとともに、小口信託受益権として販売会社に販売委託する。信託会社は建物から上がる賃貸料(1室平均約月6万円など)を配当金として受益権購入者に支払う。販売に際しては建物の共有持分と優先入居権(50室なら1番から100番までを設定)を組み合わせる。信託の活用で、譲渡も相続もできる資産となる。
今すぐ入居したい人たちは50番までの優先権付きを取得するが、将来でいいという人たちは51番から100番までを選ぶ。実際の室数の2倍の人たちで購入するから、約半分の価格となり取得しやすくなる。
信託受益権(みなし有価証券)は、サブプライムローン問題以後イメージが悪化してしまった。しかし、真に問題があったのは同ローンと、そのリスクを隠すために仕組まれた証券化商品であり、日本の不動産証券化商品や信託制度に非があったわけではない。
むしろ、小口で集めた資金を束ね、不動産の有効活用を可能にする信託制度は、高齢者のための住まいづくりにこそ積極的に活用されるべきであろう。(参里システムに関する問い合わせは電話0355726641へ)。
(本多
信博)













