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スタンダード会員限定大震災を乗り越えよう 「3.11後の選択」 再起・復興を期して<21> 自治体単位の復興プラン

住宅新報 2011年9月6日 号 9面

主導権争いが見え隠れ

似通うスローガン

 被災地の各自治体では、いま復興プランの策定が進んでいる。いずれも復興にふさわしいビジョンやスローガンを掲げ、分野ごとの目標や実行手段にブレークダウンしている。ただ気になるのは、掲げるスローガンがどこも似通っていることだ。

 スローガンとして多いのは、「元気な〇〇市・町を取り戻すことで震災復興のシンボルにしたい」というもの。

 例えば、青森県の復興プランのスローガンは「東北の元気、日本の元気を青森から」。被害の大きい他の3県に代わって、青森が引っ張るという意気込みは理解したい。ただ瓦礫の撤去もままならない3県からすれば、ここぞとばかりに出し抜きたいという「気分」が見えてくるのはうがち過ぎだろうか。

 被災地から離れた地域でも同様のスローガンを掲げる団体やプロジェクトがある。

 関西に拠点をおくあるベンチャー企業の集団は「関西から日本を元気に」を掲げる。設立趣意書には、被災地支援を活性化するための設立であることが書かれ、実際の支援活動の報告も紹介されている。だからこそ「から」という言葉が引っかかる。

 すでに福島県産をはじめとする東北の農産品・海産物は大打撃を受けている。首都圏のスーパーや生協を通じて販売されているものは圧倒的に西日本産の食材である。被災地の農業・漁業関係者からすれば、西日本産はいわば「不戦勝」状態にある。工業やサービス業でも同様だ。

 「元気で頑張れる」条件が揃っている地域が拳を振り上げても、共感しにくいと思うのは筆者だけではないだろう。

 もう一つ気になるのは復興が政治・行政の駆け引きになっている感があることだ。

 早々と復興構想を掲げた宮城県では、東京の大手コンサルティング会社の意見を受け、漁業権を民間企業に解放することで活性化させようというプランが浮上、話題となった。大胆かつ独自性の高いプランを掲げることで、復興地域の主導権を握りたい意図が見え隠れする。

 県庁所在地の仙台市は、復興庁の誘致を目論む。被災地であり、東北きっての大都市である仙台に復興庁が置かれることは、流れからしても当然という思いがあるのだろう。

 これに対し福島県も早くから岩手、宮城とは被害の質が違うとし、国に対しても別立ての復興プランを主張してきた。

境界線を越えて

 津波と地震被害が中心の宮城、岩手に対して更に原発被害、風評被害を受けた福島の復興が、違う意図やプロセスを持つのはもっともなことだ。

 しかし各自治体の復興プランが競合することで、その復興スピードが早まるなら結構だが、つまらない鍔迫り合いのために、住民の生活がおろそかになっては困る。

 経済ジャーナリストの荻原博子氏はこうした状況に対し、岩手、宮城の沿岸部と福島をセットにした復興特区、あるいは道州制のパーシャル連合を説く。

「たとえば海が汚染されて漁業ができない福島沿岸部の漁業関係者を、三陸の漁協に組み込んで船を融通することで操業が可能となるなど、地域を大きく取ることで打開できることはあるはず」

 勝手に引かれた境界線のために、命や生活に格差ができることだけは、ぜひとも避けてもらいたい。

(フリーライター・佐藤聡)

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