新しい仲介業を模索 バイヤーズスタイル 目標は日本版バイヤーズエージェント
住宅新報 2009年3月10日 号 15面
新しいサービスに軸足
『不動産版トレーサビリティ』の実現も
不動産仲介事業を手掛けるバイヤーズスタイル(東京都千代田区、高橋正典CEO)では、住宅購入希望者側に立った新ビジネスモデルの確立を目指している。「仲介して物件を引き渡して終わり」ではなく、アフター重視のビジネスに転換する。買主の手数料は無料とし、将来的には個人向けのコンサルティング事業を展開することで、フィーを得ていきたいという。
「仲介業者として、引き渡し後はサヨナラでいいのか」。そんな問題意識から橋氏は08年10月、バイヤーズスタイルを設立し、09年1月からアフターに軸足を置いた業務をスタートさせた。
購入後5年間は買主を定期巡回し、現状の問題を売主に伝えて補修を促すほか、「不動産版トレーサビリティー」(履歴情報保存)を実現するため、契約時の重要書類や建築確認関係書類を10年間保管、補修履歴のデータ更新や管理を行う。
橋氏は「従来の仲介営業は集客に約7割の時間をかけてきたが、本来は顧客サービスに時間をかけるべきだ」と持論を展開する。「できる営業マンは、既存顧客の満足度を高めて紹介を得ている。サービスの内容で顧客に選ばれるようにならないといけない」と話し、品質向上に注力する方針。巡回サービスは集客の一環でもあるという。
トレーサビリティーの実現も、「オーナーとの関係を切らさない1つのフックであり、修繕したら連絡をもらうようにすることで、長期にわたって顧客との関係を深めていく狙いもある」。もっとも、過度な要求を繰り返す顧客を作り出してしまう可能性もあり、今後の課題としている。
また、業者間オンライン情報を会員顧客に開示して業務の透明化を図るほか、物件のビデオリポート、資金計画コンサルなどを提供、顧客満足度を高める。
一方、顧客に対しては、「情報量が増え、賢くなっているのは事実だが、情報収集は購入するまでに限られている。購入後のケアを重視する意識が大切だ」と助言する。長期にわたって住み継ぐストック社会には欠かせない視点だからだ。
買主の手数料を無料にするためには、人件費と広告費の抑制が欠かせないとし、インターネットを積極的に活用するほか、モチベーションの高い人材の育成を重視している。
「稼ぎたいから不動産業を目指すのではなく、喜んでもらいたい、長く事業にかかわりたいという思いが大事だ」とも指摘する。実際、前職で新卒採用に携わる中で、そうした若者が増えていることに気付いたという。特に女性にその傾向が強く、一般企業と同水準の労働時間及び職場環境を構築し、しっかりとした方向性を示すことで、給与水準以上の成果を上げられるという。「営業員を中途採用して数字を上げる従来のやり方ではなく、育てる視点が大切だ」
事業を本格的に始めて1カ月余り。約60組の相談があった。「スタートとしてはまずます。不況下にはコンサル能力が求められる。まっとうな不動産会社には追い風だ」
今後は、買主側の個人コンサルティング業務でフィーを得られるようにし、本来あるべき「バイヤーズ・エージェント」の姿に近づけたいという。
現在、従業員は営業4人、システム系3人。将来的にFC展開を目指しており、営業の4人には10年度以降に独立を促し、FCの基礎を固めていく計画だ。













