トラブルを未然に防ぐ! 不動産調査の実務ノウハウ(49)
住宅新報 2009年3月10日 号 7面
「道路位置指定なし」は瑕疵ではない!
こんな事例があります。
96(平成8)年5月、買主が売主・宅建業者から古家付き土地を6480万円で購入したところ、「本件土地の接面道路は私道であり、建築基準法上の道路ではないから、本件土地を建築物の敷地とするには、道路位置指定を受けるために道路となる敷地の所有者全員の承諾に基づく通路協定が必要であるのに、通路協定は成立していなかった」として、売主業者と仲介業者に対して1200万円の債務不履行責任による損害賠償を求めました。
97(平成9)年12月25日、東京地方裁判所裁判官・濱野惺氏は、「売買重要事項説明書補足説明書には、『通路のみ接する敷地についての建築条件』の各条項に適合する措置を講じることにより建築基準法第43条第1項但書の適用が許容されて本件土地上に建築する建物の建築確認を得ることが可能であるが、詳細は杉並区役所建築指導課に問い合わせされたい旨の記載があり、これを原告が説明を受け理解していた」
また、「売主は、96(平成8)年9月20日付で建築基準法第43条1項但書の適用により住宅を新築するための建築確認を得た」
従って、「建築基準法第43条1項但書の適用を受けるための本件建築条件を具備することにより、本件土地を建築物の敷地とすることが可能であったのであるから、本件土地の接面道路について、道路となる敷地全員の承諾に基づく通路協定が存在していなかったとしても、そのことが民法570条所定の『隠れたる瑕疵』に当たるということはできない」としました。
そのうえで「被告らにおいて、本件売買契約に付随する義務として、本件土地の接面道路について通路協定が成立していなかったことを買主に対して告知する義務があるということもできない」と判決し、宅建業者が全面勝訴しました。
「第43条1項但書許可が建築条件に適合して建築が可能であった」場合は、「第42条1項5号の道路位置指定がないことは、物件の『隠れた瑕疵』ではない」ということです。
言い換えれば、「前面道路が第42条に該当しない」こと自体が、直ちに物件の瑕疵とはならない場合がある、ということになります。
「42条該当の有無」は必ず調査をしなければなりませんが、宅建業法施行令第3条の説明義務項目には、道路については、「第42条該当の有無」は含まれていません。第43条以降が対象です。
勘違いしやすいところですが、42条該当道路の説明項目はあくまで、『消費者の道路に対する理解』を補助するためのもの。
「建築基準法第42条の該当道路の種別」の内容そのものが『隠れた瑕疵』となるのではなく、第42条に該当しない場合には、「第43条1項但書許可に適合する建築条件が整っているかどうか」を『重要事項』として調査し、説明する、と考えておくことが大切であると言えます。
(エスクローツムラ代表取締役・津村
重行)













