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スタンダード会員限定大震災を乗り越えよう 「3.11後の選択」 再起・復興を期して<13>

住宅新報 2011年7月5日 号 2面

何がバラマキなのか

 まず公的給付を確実に一回目の義援金

 「よくわかんないんだよねぇ。とりあえず一回目の義援金が入ったみたいだけど、これは県からなの?市から?

 あと東電の補償金も入ったけど。これっきりなの?

 見舞金も出るらしいけど、どういう手続きになるのか。役所に聞いても要領を得なくてよくわからないんだよ…」

 避難先にいる母親は、電話口の向こうでしきりに「わかんない」を繰り返した。

 震災から100日以上が過ぎても、依然生活の不安は解消されない。

 政治家やメディアは義援金配給の遅れを指摘するが、まず公的給付金がきちんと支給されているかをチェックすべきだろう。これは南相馬市だけの問題ではなく、他の被災自治体でも同じはずだ。義援金はあくまで人の厚意で成り立つ。従って順番としてはまず公的給付金、次に補償金、そして義援金となるのが筋だ。

 だが公的給付金できちんと被災者に届いているのは「子ども手当」くらいだ。野党は復興支援法案可決のために、子ども手当や高校授業料の無償化の廃止を条件としているが、今回の震災では、これらはしっかり機能している。

 そもそも災害時の給付金には何があり、どういう手続きを経てどれほどの期間を経て被災者のもとに届くのか、役所でも正確に把握していない。混乱の原因には役所のマンパワー不足に加え、日本赤十字社や県、市、東京電力など出自の違うお金が複数存在すること、何より一つひとつが煩雑な手続きを必要とすることがある。

 ベーシック・インカムという所得保障制度導入のメリットはここにもある。すなわち申請手続きを経ないため、被災者に現金を素早く、定期的に支給できるだけでなく、手続業務が減るため、行政担当者の負担を減らし、行政全体のスリム化にもつながる。

 更に同志社大学の山森亮教授によると、被災地に対してのベーシック・インカム的な所得保障の導入は、「被災地のコミュニティを不必要に崩壊させないため」でもある。「いま国や県などが復興のプランを描いているが、地域がどういう復興を目指すかは、地元の人たちが決めていくしかない。それには地元の人が残っていなければならない。だが、現金がないために避難所を離れ、土地を離れて次の仕事を探しに行かざるを得ない事情がある。そこに1人5万円でも10万円でもいい、とりあえず所得保障ができれば、その人たちが地元に残り住み続けることができる。コミュニティを崩壊させず、地元にふさわしい復興プランを描き、実現できると思う」

 これまで国は、地域の産業振興といった名目でさまざまな補助金や助成金を、さまざまな省庁から、地域の産業団体などに渡してきた。

 だが、そうした金が本当に有効に使われてきたのかというと、かなり怪しい。適当な数字を載せた報告書をつくり、成功に見立てた例は少なくないからだ。それよりバラマキと呼ばれても、それが確実に人々の命、生活を守るなら、それは正しい「バラマキ」ではないだろうか。(フリーライター・佐藤聡)

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