不動産・新戦略 日本土地建物社長中島久彰氏に聞く
住宅新報 2009年2月10日 号 1面
質を見極め、資産回転
世界同時不況の影響が日増しに強まる中、日本土地建物の中島久彰社長は「今こそ積極投資のチャンス」と主張する。ただし「借入に頼らず、質を見極める目を持つ」ことが条件だ。自社の生き残り策だけではない。「CO2対策ファンド」の創設を提唱するなど、不動産業界が日本経済再生のけん引役となる重要性も強調する。独自の視点が生み出す新戦略を聞いた。
--不況は長引くのか。
「アメリカの金融回復がいつになるかだが、オバマ大統領が短期間に大量の公的資金を注入すれば、効果が現れないはずがない。私は4月頃と見ている。そして7月頃には日本の金融も回復し始めるだろう。株価推移を見ると分かるが07年6月以降、日米は完全に一致した動きをしている」
--人類が初めて経験する世界同時不況との見方もあるが。
「日本は常に悲観論に支配される。ポールソンは日本人の欠点は暗く自分を非難しすぎることだと言った。ただ、最近の経営者は少し変わってきた。トヨタやソニーなどの大企業が積極的に赤字を発表するようになった。以前は財務内容を隠したが、最近の赤字は経営に自信を持つからこその『果敢な赤字』と言えるかもしれない」
--市場の構造変化が指摘されるいま、新たな戦略は。
「今後2年間で1200億円の投資を計画している。質への回帰で優良なプロジェクトに積極投資していく。同時に財務の健全性も目指す。守りと攻めをバランス良くということで、我々は『2兎追い作戦』と言っている」
--可能ですか。
「投資は借入金に頼らず、資産の回転で資金調達する。不動産ポートフォリオを見て、効率化や内部成長が見込めないものは外へ出し、その売却資金で優良なプロジェクトに投資していく。もちろん予想に反して市況が悪ければ、計画の3割ぐらいは抑える」
--先駆者でもあるCRE(企業不動産)事業は。
「サブプライム以後、不動産戦略は一段と難しくなっている。我々は一般事業会社の不動産戦略パートナーとして引き続きCRE事業を大きな柱としてやっていく。当社が蓄積してきたノウハウを活かし昨年開発したは企業の不動産戦略を作るうえで非常に有効なツールとなっている」
「日本の景気回復にとって、不動産は極めて重要だ。中でもオフィスビルの建築は投資額の2倍の経済効果があり、今後の内需拡大の柱となっていく。六本木ヒルズは約2750億円かかったが、約5750億円の経済効果と3000人の雇用を生み出したといわれている」
--日土地本社ビルがエネルギー庁の省エネ推進ビルとして表彰された。ディベロッパーとして環境問題をどう見ているか。
「不動産業界にとってはチャンスだと思う。オバマ米大統領がグリーンニューディール政策を打ち出したが、日本はビルの低炭素化を大規模に進めるべきだ。延べ床面積で東京にはNYの約2倍に当たる1854万坪のビルがあるが、その75%が古いビルで建て替えが必要だ。そこでインセンティブとしてCO2対策ができた優良ビルに建て替える場合には、容積率を10%割り増す制度をつくったらいいのではないか。政府としては予算を組む必要がなく、素早く対応できる」
「国が資金を準備するならCO2対策ファンドがつくれる。民間都市開発推進機構に2000億円の基金をつくり低炭素化ビルを建てるプロジェクトには資金の2割を出資する。国が出資している事業となれば民間の融資や投資も集まりやすくなる。ビルの投資効果は2倍だから2兆円プロジェクトが実現できる。まさに日本版グリーンニューディールとなり、国民の支持も得られるはずだ」
(聞き手・本多
信博)













