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スタンダード会員限定鑑定協会レター 羽田空港の国際化 経済、巻き返しの起点に 1都3県 波及効果は約1.9兆円

住宅新報 2011年6月28日 号 9面

 10年10月、羽田空港(東京国際空港)から、32年ぶりに国際線定期便が飛び立った。埋立技術などの進歩に支えられた沖合展開事業により4本目の滑走路(D滑走路)がオープンし、年間発着可能回数は従来の約30万回から約41万回へ増加(成田空港は約22万回、10年3月時点)、深夜・早朝便の運航も可能となった。

 発着枠の拡大に伴い、日本航空やアメリカン航空などの既存メガキャリアに加え、話題のLCC(Low-Cost

 Carrier)であるエアアジアXが新規参入し、東京-クアラルンプール間就航記念として、片道5000円の航空券がインターネット販売され、話題を呼んだ。地元の動きは活発に

 また、新国際線旅客ターミナルビル商業施設のコンセプトは「Made

 In

 Japan-羽田Only

 One」。伝統的日本をイメージした「江戸小路」と現代日本を構成する二面性に着目した個性的な店舗構成で、新たな需要者層の開拓を目指している。

 羽田は首都圏唯一の24時間運用可能空港で、国内線のネットワークや都心へのアクセスも優れている。今回の国際化により、アジアのハブ空港争いでチャンギ(シンガポール)、仁川(韓国)、上海浦東(中国)などの後塵を拝してきた日本の巻き返しの起点になるものと期待されている。

 また、首都圏における大規模事業であるため、周辺経済に与える影響についても、大きな期待が寄せられている。

 羽田空港のお膝元である大田区では、国際化を契機とし、大田区の産業・観光を海外を含めた内外にPRするため、「羽田空港国際化記念事業」として様々なキャンペーンの実施やパンフレットを作成している。

 また、「神奈川口構想に関する協議会」(構成員・国土交通大臣、神奈川県知事、横浜市長、川崎市長)では、京浜臨海部の経済活性化を目指した「神奈川口構想」(空港アクセス道路の拡充など)について検討が進められた。これらの他、様々な協議会が設けられ、産業振興策について検討が行われている。

 国土交通省は、今回の羽田空港の拡張・国際化(国際線を年間3万回導入した場合を想定)による1都3県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)への経済波及効果を約1.2兆円と試算している。更に、国内線の乗り継ぎ向上により、地方経済へも影響が波及する可能性もあり、その際の日本国内全体に与える経済波及効果は約1.9兆円と試算している。

 このように大規模な経済波及効果が期待される中、既に各企業などでは様々な動きがみられる。

 前述した「神奈川口」の中心的なエリアである「川崎市殿町3丁目」地区では、UR都市機構などにより再開発が進められている。これはハブ空港として期待される羽田空港との近接性を生かし、臨空関連産業の誘致や、環境・ライフサイエンス分野の高度先端技術や研究開発機能の集積を目指したものであり、今後の京浜臨海部の再開発の展開を占うものとして注目を浴び、期待されている。

 さらに、都心部においても、羽田空港国際化を念頭に置いた再開発計画が発表された。

 JR東京駅前にある「鉄鋼ビルディング」の建て替え計画では「事務所棟」に加え、「にぎわい施設棟」の建設が計画された。この一部には、羽田空港の国際化、24時間運用化に対応した都心受入施設(空港直通バス待合施設、ラウンジ、シャワー室、フィットネス施設など)が設けられる予定である。

 これらの動きを反映して、11年地価公示では、一部エリアで地価の動きがみられた。

 前述の川崎市「殿町3丁目」地区に隣接する地点(川崎9-4)が地価変動率8.8%上昇(前年0.7%下落)となり、神奈川県の継続地点中、最高の上昇率となった。

 羽田空港の拡張・国際化は、大規模コンベンション施設や大型物流施設の新設、交通インフラ(高速道路、連絡橋など)の整備、サテライトキャンパスや産学提携拠点の進出、更なる需要を創出する可能性を秘めている。航空行政の再構築を

 しかし、このような潜在的な需要を喚起し、更なる経済効果を創出するためには、短期的には、東日本大震災、福島原発事故以降、大幅に減少した旅客数・貨物量の増加を目指した、政府主導による、速やかかつ実効性を有する政策の実施が急務である。加えて、中長期的には、懸案である「羽田・成田の位置付け、すみわけ問題」を含む、航空行政の再構築が肝要であり、アジア諸国の対応を意識した、スピーディかつダイナミックな対応が望まれる。(宮城県不動産鑑定士協会、秋元康男)

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