阪神発リノベーション最前線(1) es(エス) 大阪市西区
住宅新報 2009年2月3日 号 10面
『定額制』で業界に新風
パッケージ化で低価格に
若い世代を中心として、全国的にニーズが拡大しているリノベーション。特に阪神間では、地価が高いという地域性からも中古住宅の活発な取引が見込まれる。既に、様々な特色を打ち出したリノベーションを手掛ける会社が人気を集めているようだ。大阪府、兵庫県の各社を訪ね、取り組みやユーザーの傾向を聞いた。
(鹿島
香子)
JR難波駅から徒歩10分の道頓堀川沿いに、白壁の建物が目を引く。築30年の物件を改装し、昨年10月に移転を完了した設計デザイン事務所es(エス、山下智弘代表取締役)の本社だ。大阪でリノベーションを手掛ける業者の中でも、勢いのある会社の1つである。
店舗と住宅のデザイン設計・施工を事業の柱に据える。以前は店舗の受注が8割を占めていたが、昨年から住宅の割合が増加。特にリノベーションの問い合わせ件数が伸びていると言う。時代の追い風を受け、中古マンションの定額制リノベーション商品「リノベる。」を今年1月から本格始動した。
床や壁、キッチン、トイレといった基本設備と、躯体まで戻して作り変える工事費用をすべてパッケージ化した。価格は、約60平米・1LDKにウォークインクローゼットを加えた基本の間取りが500万円。地元銀行と提携することで、専用ローンの利用も可能にした。
商品コンセプトは『白い箱』。機能性、メンテナンス性は確保したうえで、シンプルな内装に仕上げている。リノベーションと言えば、様々な設備やデザインから好みの仕様を選択できる点もメリットの1つと言える。だが、山下社長は「最終的に『シンプル』に立ち返る人が大半。その人らしい色付けは、家具やインテリアなどで楽しんでもらえれば」と話す。
オプションとして豊富に取りそろえる家具類はすべて、同社に在籍する家具職人が1階の工房で製作したもの。「顔の見えるものを提供する」という理念のもと、ものづくりから供給までを、一貫して自社で行う体制を整えた。
こうした『本物』を追求する姿勢は、品質へのこだわりにも通じている。化学製品に頼らず、床に塗るオイルは舐(な)めても安全なものを使用。手頃な価格と質の高さを両立させたと言う。
実績を積むことで、「本物のリノベーションを広めていきたい」と力を込める山下社長。現在、不動産会社との提携に力を入れており、セミナーを精力的に開催している。提携社数を増やし、将来的に全国展開を目指す方針だ。













