ひと 住宅市場に何かを予感 「ハ会」でも変革の狼煙上げたリクルート住宅総研主任研究員 島原 万丈さん
住宅新報 2011年5月31日 号 2面
住宅総研が、毎年大きなテーマに挑んでいる。その研究結果をまとめた報告書が08年「既存住宅市場の流通活性化プロジェクト」、09年「住宅長寿命化大作戦」、10年「賃貸住宅生活実態調査-愛ある賃貸住宅を求めて」と立て続けに発行された。
毎回、誤解を恐れないストレートな提言が心に残る。「現在の賃貸住宅市場は入居者も大家も幸せにしない市場だ。建物も愛されていない。つまらない市場だ。まったくもって、つまらない」
大胆に言いきる代わり、解決の道筋はしっかり示す。日本の賃貸住宅が大家からも入居者からも住まいとして愛され、双方が幸せになるための処方せんとは--。
豊富なアンケート調査結果なども駆使しながら、織物を織るように丁寧に報告書に盛り込んでいく。
「共同執筆によるボリュームは本1冊分に相当する」というぐらい、専門家も交え徹底した議論を展開した成果と言っていい。だからこそ、ここでその要旨だけを取り出したら、意味がなくなるのではないかという恐れさえ抱かせる。
現職に就いたのは05年の終わりごろ。「以前は、結婚情報のゼクシィを担当していたので住宅はまったくの門外漢でした」
しかし、今年は「ハ会プロジェクト」(ニッポン住宅維新会議)も手掛け、住宅・不動産・建築業界の既得権益破壊運動の旗手としても名乗りを上げた。
「世の中にはいろいろな業界があるが、住宅を扱う業界が国民にとって極めて大切な業界であることは間違いない」
「だから消費者目線の変革も、長期的俯瞰的視点でのストック型産業構造への転換も、本気で取り組まなければいけない」
不動産会社の人間ではないからこそ、業界改革の狼煙を上げることができる--そんなことは本人は百も承知だ。しかし「そこで留まったら何も始まらないのでは」と問い掛ける。
「今回の東日本大震災が何かのムーブメントになる可能性はありそうだ。エネルギー問題、一極集中、少子高齢化、過疎化などこれまでバラバラだった問題意識が一つにまとまっていくような…」
あたかも、無秩序だったガスや塵の流動体が次第に渦を巻き宇宙が形成されていくように、住宅市場に何かを予感しているのかもしれない。45歳。
(本多
信博)













