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スタンダード会員限定よく分かる不動産証券化とビジネス活用<第152回> 不動産証券化の現状と将来展望 有識者に聞く 東京リアルティインベストメント・マネジメント代表取締役 大久保 聡氏

住宅新報 2011年5月3日 号 3面

売り買いの価格目線が接近

 ビルの売買が活発化(大久保社長)

 3つ目は、相対的に高い投資利回りを確保していることです。4月1日現在、投資口の利回り5%以上、時価総額1500億円以上、格付AA格の3要件を満たすのは、35銘柄中5つでしたが、当リートはその一角を占めており、バランスのとれた運用ができていると考えています。このことが、投資信託への高い組入れ比率につながっていると思います。(田辺)

 ここ数カ月間で、賃貸オフィス市場の市況はかなり改善したようです。(大久保社長)

 東京オフィスの空室率は、昨年末が空室率のピークであったとみています。賃料もリートが主な投資対象としている東京都心部のSクラス、Aクラスのオフィスビルに関しては、既に底打ちしています。但し、Bクラスについては、もう少し時間がかかりますが、今年の終り頃には改善に向かうのではないでしょうか。

 来年の都心部のオフィスビル供給は、今年の2倍近くになるので、一時的に空室率が上昇するかもしれません。しかし、再来年には供給が半減し、中長期的には賃貸市況は上向きに転じると思います。

 一方、東京以外の地域の回復には時間がかかり、しばらく空室率が上昇しそうです。ビル供給量が大きい大阪は、厳しい状況が続いています。とはいえ、地方のビル市況は景気(需要)以外に、ビルの供給動向に大きな影響を受けるので、金融危機以降の供給が抑制されていることからすれば、時間をかけながら穏やかに回復に向かうでしょう。(田辺)

 どのようなテナントからの引き合いが増えていますか。(大久保社長)

 情報通信業(スマートフォン関連など)、建設業、医療メーカーといったところです。建設業については、今はIT関連の電気工事業者が中心ですが、これからの復興需要でゼネコンやハウスメーカーの増床ニーズが出てくるかもしれません。(田辺)

 ビルの売買市場は、賃貸市場に先駆けて動き始めているようです。(大久保社長)

 正に反転回復期に入ったという印象です。金融危機の影響が薄れて金融機関からの融資環境が改善したこと、賃貸市場が回復に向かっていることが要因です。売買市場に参加するプレイヤーが増加し、取引そのものも増えていますが、水面下での交渉も活発化しています。このことは売買のキャップレート(取引利回り)の変化にも現れており、東京都心部のオフィスビルでは、1年前に5%前半だったものが、今では4%台後半にまで低下しました。0.5%程度、利回りが低下(価格は上昇)したというイメージです。

 キャップレートの低下によって乖離していた売り手と買い手の価格目線が近づいてきたので、取引が成約しやすくなってきました。当リートも、買いのチャンスだと考えています。不動産サイクルで見ると、今は約1年前の底値圏から少し上がり始めたところです。すでに底値ではないかもしれませんが、ここでどれだけ買えるかが、勝負になってくると思います。一方、地方の売買市場は、賃貸市場と同様に、回復には時間がかかるとみています。

 (つづく)

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