長周期地震動 超高層の備え(下) エレベーター停止による被害とは 危険度判定に支障も
住宅新報 2011年5月17日 号 4面
長周期地震動の発生時、長時間大きく揺れるとされる超高層建築物。直接的な被害は免れても、エレベーターの停止による『二次被害』が懸念されている。閉じ込め対策は進展
その最たるものが、閉じ込めだ。04年新潟県中越地震では、約150キロ離れた関東平野で長周期地震動が発生。東京都心の超高層ビルでエレベーターが停止し、利用者が閉じ込められた。ロープ類の絡まりが原因だったという。また、翌年7月に起きた千葉県北西部地震でも、首都圏で約6万4000台のエレベーターが止まり、閉じ込め件数は78を数えた。
地震時は交通網の混乱が予想され、救助に時間がかかる可能性が高い。事態を重く見た国土交通省は09年、建築基準法改正時にエレベーターへの「地震時管制運転装置」の導入を義務化。機械が初期微動(P波)を感知し最寄り階に着床、扉を開け乗員を降ろす仕組みだ。対象は新築の建築物のみだが、それ以前から徐々に普及していたこともあり、10年3月末時点で全体の約7割が導入済み(日本エレベータ協会調べ)という。
最優先課題である、人命の安全確保に向けた道筋は付いたと言えそうだ。しかし、本震が過ぎた後もエレベーターが停止したままだと、また別の問題が浮上してくる。膨大な調査個所
地震後は、避難や修復の必要性などを判断する目的で応急危険度判定が行われるが、エレベーターという移動手段が断たれるとその作業に支障を来す。特に超高層は、規模に比例して調査個所が膨大な数に上るため、大幅に遅れてしまう可能性が指摘されている。
日本エレベータ協会(東京都港区)によると、地震時管制運転装置は最寄り階に一時停止した後、揺れの度合いが一定以下ならそのまま運行を続けるが、一定以上の場合は自動休止するという。再び動かすには、保守管理会社による点検が必要だ。
最近は技術開発も進んでおり、機械本体の判断で動かすことのできる「自動診断仮復旧運転」装置が既に一部で実用化されている。ただ、中越地震の時のように、ロープ類の絡まりによる停止の危険性は依然として残ったまま。同協会の宮田毅技術部長は、「技術的に最も難しい部分。製造会社各社に頑張ってもらうしかない」と話す。また、エレベーターの性能をいくら強化しても、周囲の壁が変形した場合は開閉できなくなる恐れもあるという。そのため、ほかの部材の強度も勘案しつつ対策に取り組む必要がある。
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確かなのは、エレベーターが超高層建築物の動脈であるということ。地震に備え、その更なる進化が望まれる。
(鹿島
香子)













