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大言小語 ホスピタルデザイン

 「医療はどんどん進化するのに、どうして病院内はどこも昔から同じ雰囲気なんだろう」という疑問。そして「デザインは人の病と闘う力を引き出せる」という信念。「病院を病院ではなく、健康の院、〝健院〟にしたい」と願うドムスデザイン代表取締役・戸倉蓉子さん。今年、病院に関係する一切にデザインを導入して、一新しようという「ホスピタルデザインウイーク」の実現に向けて活動を始める。

 ▼日本の病院を施設のようなさびしい環境ではなく、「明るく元気な気持ち」になれる場所にしようという企画だ。そのデザインとは建築からインテリア、病院食、病院衣料、IT環境まで幅広く、ヘルスケア産業全般が対象となる。既に一人ひとりが違うカラフルで個性的な病院服を着て、室内には農園で採れたばかりの花が飾ざられている―。「最期はここで」と思わせる先駆的な事例が各地に出始めている。

 ▼戸倉さんは看護師から一級建築士になった。イタリアで学んだことを基に、国内外で患者が元気になる病院やコミュニティが自然と醸成される動線を配した賃貸マンションの設計などに取り組んでいる。「病院はサービス業」というのも持論だ。病院が変わることを目指して3月、都内でキックオフ講演会を開く。ホスピタルデザイン研究会代表としてウイーク実現の旗を振る。高齢社会の日本を元気にする一つの試みである。