固定資産の減損会計が与える影響
大蔵大臣の諮問機関である企業会計審議会(会長:若杉明 高千穂商科大学教授)は、第一部会(部会長:斎藤静樹 東京大学教授)で審議されている固定資産の会計処理について「固定資産の会計処理に関する論点の整理」を23日から公表している。
固定資産の減損処理(減損会計)とは、一般企業の工場や不動産会社の賃貸ビルなどをはじめとする固定資産が帳簿価格(簿価)を下回る価値となった時に、一定の条件のもとに貸借対照表の簿価を減額したうえで、損益計算書で減額分を費用として損失処理するというもの。販売用不動産の強制評価減(時価が簿価の50%以下に下落した場合の損失計上)については2001年3月決算から義務付けられ、多くの企業では前期決算から前倒しで採用し積極的な特別損失処理を行っている。しかし今回の会計処理案は、時価評価を固定資産にまで範囲を広げ、時価が簿価を下回った場合に損失処理することから、将来への損失先送りを認めないという考え。ここでいう時価とは、資産の持つ収益性を重視して算出することから、企業としては低・未利用資産の含み損を表面化させることになる。販売用不動産の強制評価減により、特別損失を計上した企業が、更に固定資産の減損処理で特別損失を計上する可能性が多い。特に自己資本が薄い企業にとっては、キャッシュフロー(CF)上は直接の関係はないものの、新たな特別損失の計上により債務超過となることも考えられ、大きな影響を与えそうだ。
審議会の論点整理では、簿価が将来のCF(割引前の総額)を超えるときに減損を認識し、その資産の簿価を公正価値(時価)まで切り下げるという「米国基準」と、その時点での正味売却価格と将来CFの割引現在価値のいずれか高いほうの額(回収可能価額)を簿価が超えるときにその額まで簿価を切り下げる「国際会計基準」に、日本の基準を整合性を持たせたうえで会計基準を定めるべきとしている。基本的には減損が認識された場合のみ会計処理することになるが、固定資産の収益性が回復し評価額が簿価を上回った場合には、過年度に計上した損失を戻し入れるか検討するなど、今後さらに検討すべき事項が多い。
また投資用不動産については、日本、米国をはじめ多くの国で有形固定資産と同様に取得原価基準で統一されているが、国際会計基準では時価と取得原価基準の選択で、日本の投資用不動産への適用はどうすべきか検討するとしている。審議会では、論点整理に対する意見を8月18日まで広く求め、導入の時期など検討していく予定だ。













