Pick Up!
- 8月の大手ハウスメーカー受注、マイナス要因重なるも総じて堅調
- 楽天銀行が近年注目の「ペアローン連生団信」を取り扱い開始
- 三井不などが進める横浜市旧市庁舎再開発、26年3月開業へ
1週間のランキング・トップ10から記者が気になる記事を3つピックアップしていきます。
まず、今月も紙面記事からランクインした2位の「賃貸は2社が二桁成長 大手住宅メーカー8月受注金額 戸建て注文4社が前年プラス(2025/9/23号)」です。一般物価や建築費が上昇する一方、実質賃金は低迷が続き、依然として厳しい市場環境ではありますが、大手ハウスメーカーの受注高は、戸建て注文住宅では10社中4社が前年同月比プラスとなりました。過半数はマイナスではありますが、4月の改正建築物省エネ法・建築基準法全面施行を前に3月に発生した大幅な駆け込み需要の反動により、25年度は戸建て・集合住宅とも着工戸数の減少が続いている上に、8月は猛暑の影響で住宅展示場の来場者が減少したことの影響も考えると、全体としてはおおむね健闘している印象です。その原動力は、やはり棟単価の上昇や高額サービスの推進により、受注金額で件数を補う戦略が機能していることと考えられます。加えて、一部セグメントがマイナスでも、多くの場合は他セグメントでカバーできている様子が見られ、こちらも各社の強みが読み取れる注目ポイントです。
次に興味深かったのが、3位の「楽天銀行 ペアローン連生団体信用生命保険を開始(2025/9/25配信)」です。現在、特に大都市圏では住宅価格の高騰が続いており、一般層にとって世帯主単独のローンでの住宅取得は非常に困難となっています。そのためペアローンの利用割合も増加が続いていますが、従来型のペアローン団信は、パートナーが死亡した場合等に、当人のローン残高がゼロになるというもの。つまり、もう一方の契約者のローンは残るため、返済のための仕事と、子育て・介護等の両立を迫られるといったリスクが想定されます。そこで、契約者のどちらか一方に万が一のことがあった場合に、両者のローン残高がゼロになる「ペアローン連生団信」が近年注目されており、PayPay銀行が24年6月に銀行として初めて(同銀行調べ)その受け付けを開始しました。その後も同様の動きは広がっており、今回楽天銀行も取り扱いを開始したという流れです。昨今の利用者ニーズを踏まえたローン商品ですが、リスク軽減のぶん金利が上乗せされるほか、ローン残高の免除時に、死亡等に該当しないほうの契約者には納税義務が発生する場合がある(支払い免除額が一時所得と見なされる)など、ある程度のデメリットも存在します。住宅事業者としては、エンドユーザーに選択肢を提供する際に、必要に応じて正しいメリット・デメリット情報を伝えられるよう、こうしたローン商品のトレンドとその特性、取り扱い金融機関等のポイントを把握しておきたいところです。
3つ目は、「三井不など、関内駅前の大型複合開発 来年3月グランドオープン(2025/9/24配信)」をご紹介します。三井不動産を代表企業とし、東急や京浜急行電鉄、星野リゾート、ディー・エヌ・エー、第一生命保険、ゼネコン企業2社の計8社が参画する再開発「横浜市旧市庁舎街区活用事業」が26年3月に完成し、大型複合施設「BASEGATE横浜関内」として開業するというニュースです。横浜市の中核に位置し、横浜スタジアムにも隣接する旧市庁舎街区に、オフィスと高度な商業・宿泊・飲食・娯楽機能を備えた大型施設を開発するプロジェクト。先進的なエンターテインメント設備のほか、三井不の賃貸ラボ&オフィス「三井リンクラボ」を横浜で初めて整備するなど、集客だけでなく市内の新産業創出を促進する施設を目指しています。更に、三井不は長期経営計画で、傘下の東京ドームを生かした「スポーツ・エンターテインメントを生かした街づくり」を掲げ、そのノウハウを活用した事業展開も進めており、DeNAと連携した今回の事業もそうした取り組みの一環と考えられます。こうした特徴から、近隣エリアの不動産関連事業者はもちろん、多様な業界・業種から注目されている市街地再開発事業であり、当記事も幅広い層から高い関心を集めた結果のランクインと言えるでしょう。