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記者が解説 住宅新報web週刊ニュース記事(9月2日~9月8日)

Pick Up!

  • 4月設立の住友不ハウジング、10月に社長交代
  • 大手不動産会社が取り組む社内ベンチャー制度の意義は
  • 野村不、JR東日本の「ブルーフロント芝浦」1棟目が全体開業

 1週間のランキング・トップ10から記者が気になる記事を3つピックアップしていきます。

 初めに、今回1位となった「住友不動産ハウジング 新社長に三浦副社長(2025/9/2配信)」をご紹介します。同社は、住友不動産の注文住宅事業と、「新築そっくりさん」で知られる大規模リフォーム事業を統合し、25年4月に設立された新会社。大胆な事業統合・再編による新会社の上に、設立から半年での社長交代ということもあり、読者から大きな注目を集めました。初代社長の加藤宏史氏は双方の事業分野を所管してきた豊富な経験を持ち、10月1日に就任予定の三浦桂介氏はマンション管理を主軸とする「住友不動産建物サービス」の社長を軸に、住友不の住宅事業を長年手掛けてきました。現在のところ、同社から社長交代の詳細な意図などは発信されていないようですが、背景にはトップの若返りと共に、新会社の着実な初動を支えた加藤氏と、事業の本格的な推進・成長を担う三浦氏という役割分担を図った可能性が想定されます。本紙紙面では、第一報の本記事よりもやや詳しく報じた「新社長に三浦副社長 住友不動産ハウジング(2025/9/9号)」を掲載していますが、今後もこの社長交代の狙いや三浦新社長の方針などについても、継続的にお伝えしていく予定です。

 次は、紙面記事から2位にランクインした「本格化する『社内起業制度』 新たな成長の芽探る 人材育成、社内風土変革も(2025/9/2号)」です。大手ディベロッパーの事例を中心に、新たな成長事業の創出・育成を主目的とした「社内ベンチャー制度」の動向や背景、成果等をまとめました。ポイントは、同制度の狙いについて、複数の企業が人材の育成や採用といった「人的資本への投資」について言及していた点です。もちろん、営利企業の施策である以上、直接的な売り上げや利益のほか、既存事業分野への好影響など間接的なメリットも含めた〝収益性〟が新規事業の再優先事項。しかし各社とも、一見すると関係の薄い「人材」分野を取り組みの動機として挙げたことは興味深い結果でしょう。従来型の戦略や人材活用に対する危機感とも、既存の人員と限定的な投資で最大限の成果を得るための工夫とも考えられますが、具体的な各社の事例は記事をご覧いただき、自社の課題解決へ向けた参考として役立ててもらえればと思います。

 最後は、同じく紙面記事で6位の「野村不など 大規模再開発複合ビル 「ブルーフロント芝浦」全体開業 「地域に開かれたコミュニティハブに」(2025/9/2号)」をピックアップします。4位にも、関連記事の「野村不・JR東日本、『ブルーフロント芝浦』1棟目開業で式典(2025/9/2配信)」がランクインしている点も併せて、「ブルーフロント芝浦」が読者の高い関心を集めている様子が分かります。同物件は、東京都港区芝浦で両社の保有していた敷地(物件)を統合し、2棟の大型ビルとして再開発するプロジェクト。計画始動は18年で、1棟目(タワーS)が25年2月に完成した後、段階的な開業・入居を経て今回全体開業を迎えたという流れです。野村不が以前から旗艦的事業として注力してきた都心大型再開発であり、競合他社だけでなく、不動産・街づくり関連の各方面から注目されているプロジェクトと言えるでしょう。地価公示や路線価等で確認できるように、大型再開発が地価やエリア価値の動向に与える影響も、近年一層大きくなっている印象です。付け加えれば、昨今の建築費上昇等に伴う再開発事業のハードル上昇も、同物件の進ちょくに対する関心を高めた要因の一つかも知れません。同物件の残り1棟、「タワーN」も30年度に竣工予定ですが、引き続き業界内外の注目を集めていくことでしょう。

 

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