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スマートホーム×ホームステージング IoTと家具装飾で相乗効果 仮想体験モデルルーム始動 アクセルラボ=ZEH住宅など照準 カラー&デコ=宅建事業者を視野に

 住宅・不動産ビジネスの多様化が進んでいる。住宅ストックが積み上がり、少子高齢社会で人口が本格減少に向かっている中で、家余りが社会問題としてクローズアップされ、不動産事業者は消費者に振り向いてもらう集客戦略に試行錯誤する。その中でIT機器を活用したサービス展開は珍しくなくなった。ただ、消費者を引き付けるためのコストとの見合いが重要になっている。

 新型コロナウイルス禍で日本はデジタル対応が世界の周回遅れであることに気付かされたが、住宅・不動産業界でも効率的な集客を模索する動きが活発になっている。

 そうした中で、アクセルラボ(東京都渋谷区)は、同社が提供する仮想体験ができるスマートホームサービス「Space Core(スペース・コア)」を、バーチャルインテリアサービスのカラーアンドデコ(東京都港区)と協業で不動産事業者向けに「スマートVRモデルルームpresented by Color & Decor」として提供を始めた。

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 同サービスは、オンラインでスマートホームを体感できるもので、画面上でスマートホーム機器や家電の操作が可能であるほか、暮らしの変化を仮想体験できる。モデルルーム内に表示されているスマートホーム機器は、使用方法やシーン操作を動画で閲覧も可能である。これに加えて、家具の合成や壁紙の変更など住宅の魅力を体感的に伝えるバーチャルホームステージングのツールとしても活用できる。協業先のカラーアンドデコは、ホームステージング大手の出身者が2019年7月に設立した会社だ。〝独立〟前は3カ月・約30万円を中心に年間2000件のホームステージング実績がある。

 ホームステージングは、家具やインテリアを部屋に飾ることで空室を単に内見するだけでは分かりにくい生活イメージをつかんでもらえることで早期成約につながるサービスとして不動産仲介大手などで導入が進んでいる。

 ただ、全国から問い合わせを受けても実際に対応できたのは1都3県にとどまっていたという。同社取締役COOの山口真幸氏は、「北海道や九州・沖縄など遠方になると家具などの運搬費用や人件費がかさみ同じ内容なのに費用が100万円を超えてしまったりするためだ」と話す。

 そこで家具・インテリアを実際にしつらえるコストを抑えて地方の要望に対応できるバーチャルホームステージングに踏み込んだ。この2年ほどでリアルとバーチャルを合わせて約1000社の導入実績があるという。スマートホームとの相乗効果に期待し、将来的には全国宅建事業者の2~3割のシェアを取りたいとの意気込みを見せる。

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 アクセルラボでは、一般消費者向けではなく、賃貸管理会社や住宅メーカーなどの事業者にスマートホームの機器やプラットフォームを提供している。セールス・マーケティンググループの高橋貢グループダイレクターは、「最初の緊急事態宣言以降に家の中を充実させたいというニーズの高まりを実感している。家の価値を上げようという動きを追い風にスマートホームを広めたい。足元の実績は150社を超えた」と話す。

 賃貸住宅での実績が多いが、同社が強みとするアプリ操作との連携をアピールしてZEHとHEMSなどの戸建て住宅に照準を当てて展開し、実需向けでの利用も引き上げる。将来の目標として、スマートホームといえば「スペース・コア」を認識してもらえることを目指している。 両社は、スマートホームとホームステージングのそれぞれの強みを生かし、住宅の市場価値を引き上げる効果に着目しており、住宅・不動産会社への認知度を高めていきたい考えだ。    (中野淳)