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大言小語 郊外の空き家

 郊外だが駅から近く大きな庭もある我が家。「通勤大変だね」と、言われることも多いが、とても満足して住んでいる。子供とよく遊びに行く近くの公園は、都心の住宅地ではあり得ないほどの広さだ。近くの美術館にもよく出かける。目的は美術鑑賞ではなく、広大な庭園の散歩だ。季節を感じることができ、広く開放的で気に入っている。農業をするために田舎に移住する人の話も聞くが、近くに市が貸農園を運営している。わざわざ移住しなくても、わずかな金額でそれなりの農園を利用することもできる。

 ▼郊外も捨てたものではないと本気で思っていた。しかし、少々困りごとも抱えている。数年前、隣の家が空き家となり、所有者がどこにいるか分からない状態に。最初は静かでいいと思ったが、時が経つにつれ、家は荒廃し、大きくなりすぎた高木のおかげで我が家の日当たりが悪くなった。季節によっては、庭が落ち葉で埋めつくされてしまうほどだ。意識して周辺を見渡すと、あちこちに似たような空き家が発生している。

 ▼空き家の問題は郊外に限ったことではない。しかし、資産価値の高い都心部に比べ資産価値の低い郊外では、土地活用などによる改善の見込みは低いのではないかと思う。「空家等対策の推進に関する特別措置法」の施行により、今までより市町村の権限が強化された。現実的な対応はこれからだろうが、前向きな一歩に期待したい。