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2012年公示地価 4年連続下落も下落幅は縮小、震災から回復傾向

 国土交通省は3月22日、2012年公示地価を発表した。それによると、2012年1月1日時点の地価(調査対象2万6000地点)は住宅地で2.3%下落、商業地で3.1%下落した。住宅地、商業地とも4年連続の下落。ただし、昨年調査(住宅地は2.7%下落、商業地は3.8%下落)から下落幅が縮小した。また、都道府県地価(2011年7月1日時点)との共通地点で半年ごとの動きを見ると、東日本大震災のあった2011年前半は下落率が拡大したものの、2011年後半には下落幅が縮小。国交省は「被災地を除き、比較的早期に回復傾向を示している」と話している。

 半年毎の動きで全国平均を見ると、住宅地は2011年後半が0.9%下落と下落率が1%を切った。低金利や住宅ローン減税などの施策による住宅需要の下支えが好影響を及ぼした。一方、商業地も2011年前半の1.8%下落から同年後半は1.2%下落。オフィスの高い空室率や賃料下落などで需要は弱いものの、堅調な住宅需要を背景に商業地をマンション用地として利用する動きが全国的に見られたという。

 東日本大震災の被災地では、被災の程度により大きな差が見られている。津波による被害が甚大だった岩手県や宮城県の沿岸部では、10%を超える下落率を示す地点が見られた。一方、浸水を免れた高台地区や被害が軽微だった地区などは、被災住民の移転需要から上昇も記録。宮城県石巻市の住宅地では、60.7%もの上昇を示した地点も見られた。

 仙台市でも、移転需要や復興事業に伴う地価の上昇が見られた。市内住宅地全体では0.9%の下落だったものの、浸水近接地を中心に中古マンション市場は強含み。貸家も満室状態だという。宮城県全体では、住宅地が0.7%下落。愛知県の0.2%下落に次ぐ、低い下落率だった。

 その他の被災3県では、岩手県が住宅地で4.8%下落、商業地で7.0%下落と前年(住宅地は4.9%下落、商業地は7.6%下落)から下落幅が縮小した一方、福島県は下落率が大幅に拡大。住宅地は6.2%下落(前年は3.4%下落)、商業地は7.2%下落(同4.3%下落)となった。原発事故の影響で郡山市や南相馬市などは8%程度の大きな下落を記録した。

 また、液状化の被害が報告された千葉県浦安市ではエリアによって下落率に幅が見られた。液状化の被害があった中町、新町エリアで10%を超える下落率を示した地点があった一方、被害の無かった元町エリアの地点では、3.7%の下落にとどまっている。