総合

大言小語 ツツジ映え

 5月の花といえばツツジ。最近、近所に新築された賃貸マンションでは、生垣のように周りを赤、白、ピンクのツツジが埋めつくしている。この光景を見たら誰でも入居したくなるような鮮やかさだ。近年は、賃貸マンションでも入居者募集に際してホームステージングを実施する物件が増えているようだが、室内に限らず外構の美しさも人を引き付ける。

 ▼基本的には同じ間取りの住戸が並ぶことが多いマンションの場合、外構を含めた建物の外観は、差別化を図る重要な要素だと改めて思う。投資家やオーナーの収益性だけを重視した窮屈な設計は時代遅れになるのではないか。室内の設備や内装は後からでも変更可能だが、ゆとりを持たせた緑地が生み出す魅力は最初の設計に取り込むしかない。

 ▼今年が日本の総世帯数のピークになるのではとみられている。これまでの人口減少に加え世帯数も減少となると、住宅市場の競争激化は必至だ。その中でも賃貸住宅の主な借り手である20代、30代の世帯数は全世帯の減少率を大きく上回る。22年の出生数が初めて80万人を割ったというニュース(23年2月)は記憶に新しい。20年後の賃貸住宅市場の厳しさをうかがわせる。

 ▼ツツジは4月から咲き始め、賃貸住宅が新規入居者を獲得するいわゆる春の繁忙期には少し遅れる。ただ、既存入居者がこの色鮮やかな光景を来年も見たいと思うのは確実だ。