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大言小語 まずは自分を守ること

 今年度の新入社員も、そろそろ新たな環境に慣れた頃だろうか。今回は、〝昭和世代〟の考え方かもしれないが、新社会人の諸兄・諸姉に伝えたいことがある。

 ▼簡潔に言えば、「自分を大切に」ということだ。会社では、組織の一員として窮屈な思いを強いられることもあろうが、過剰な責任感、あるいは反発で疲弊してしまっては互いの不幸。適切な受け止め方、あるいは受け流し方を意識してほしい。

 ▼そこで、無用な衝突を避けるツールとして極めて有用なのが「あいさつ」だ。道徳のお説教ではなく、自分の身を守るスキルの話である。あいさつとは元来、「共同体意識を高めてコミュニティの結合を維持する社会的機能」(名古屋市立大・安達正嗣『あいさつ行動の社会学的考察』)を果たす儀礼行為。定期的に簡単な言葉を交わすだけで、「自分は敵ではなく、組織(共同体)の一員である」という態度を明示できるのだから、〝コスパ〟も〝タイパ〟も優れた行為と言えよう。そのため、能力・評価共に優れた人材は、ほとんどの場合〝あいさつ巧者〟でもある。

 ▼自分をしっかりと守れる態勢が整ったら、次はぜひ「顧客を守る」ことも意識してほしい。不動産分野は情報の非対称性が著しく、一般層は知識不足から不本意な契約を結んでしまうことも多い。その時最後に顧客を守れるのは、多くの場合、プロとして契約に立ち会うあなただけなのだ。