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大言小語 上昇と改善の間で

 今年も、本紙の選んだ「重大ニュース」をお届けした。読者諸兄はこれらのニュース群に対して、何を感じるだろうか。「これはふさわしくない」「あれが足りない」など、ご意見はあると思う。しかし、これはこれで本紙なりの見解なのだと受け止めてもらえれば幸甚だ。

 ▼さて、一通り項目を眺めると、大きな傾向として「上昇」と「改善」というキーワードが浮かぶ。地価や建築費、マンション価格、ローン金利など、主にコストや価格における「上昇」という、住宅着工の減少とも表裏一体でポジティブとは言いがたいニュースが、業界内外の耳目を集めた年だった。

 ▼一方「改善」は、インバウンド回復や空家対策特措法改正、マンション管理のカスハラ防止などだ。空き家対策や不動産IDの連携組織設立、メンテナンス主任者制度なども、社会課題への対応体制の「改善」であろう。住宅省エネ義務化など、業界にとって〝諸手を挙げて歓迎〟とはいかないものもあるかもしれないが、方向性としては、より良い社会を目指した動きと思える。

 ▼人や組織、社会の課題は、その解決と一層の高みを目指す改善・改良の動機ともなる。住宅価格の高騰に対し、事業者が知恵を絞って新たなアプローチの商品を開発しているのはその好例と言える。目前の課題を放置せず、改善を図る意思こそが、企業の業績や業界への信頼感の「上昇」にもつながるはずだ。