総合

大言小語 デジタル社会、有事に問われる

 新型コロナウイルスの収束は見通せない状況が続き、企業や個人のコロナ対応も続く。出社と在宅勤務のハイブリッド体制は当たり前の時代となった。

 ▼感染症によりデジタル社会が注目を浴びている。諸外国に比べてデジタル対応が周回遅れだったことに気付かされて官民とも挽回に躍起だ。今やDXという言葉を聞かない日はないが、DX推進により何ができて企業収益にどのように結び付くのか今一つピンとこない事業者も少なくない。

 ▼ただ、デジタル化は万能なのか。死角はないのか。すべてをデジタル化して書類を保管する。紙の書類をデータ化すれば保管場所も必要ないし、探したい書類も簡単に検索して引っぱり出せる。利便性は格段に向上する。一方でデジタル化された膨大な書類も簡単に持ち運びできる。尼崎市の職員が深酒で市民の個人データが入ったメモリーカードの入ったカバンを紛失して騒ぎになったことは記憶に新しい。

 ▼リスクに対する検証は必要だ。リスク管理ができていなければどんなに便利なサービス・技術も意味をなさなくなる。先日、KDDIの携帯電話が長時間にわたって使えなくなった。電話もデータのやり取りもできない。思い起こせば東日本大震災のときに家族や知人、仕事先などに携帯電話が使えずに公衆電話に行列ができた。平時のときに便利なのは当たり前のこと。サービスの真価が問われるのは有事で使えるのかどうかだ。