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地所 大丸有エリアで環境整備 経産省と協力、ロボ・昇降機連携など国際標準化へ 5G基地設置でロボ活用も

 三菱地所は、大手町・丸の内・有楽町(大丸有)エリアのまちづくりにおいて、ロボット導入や高速通信インフラ整備を加速する。大丸有エリアにおいてロボットを導入しやすい環境整備を開始。エレベーターやセキュリティドアなどに対応した清掃ロボットや配送ロボットを、既存オフィスビルに実装する。同社は、高速通信インフラの整備にも着手し、国や自治体、不動産オーナーと連携して5G基地局を今後5年間で1000カ所の建設を進める。「5Gの普及でロボットの活用シーンは増える」(同社)と見ている。

 同社は、既存の施設やまちとロボットが連動した新サービス提供に向けたロボットフレンドリー(ロボフレ)な環境を構築。これまで難しかったロボットとオフィスビルの各種機器とを連動させる。具体的には、「大手町フィナンシャルシティグランキューブ」と「大手町パークビルディング」の3~5階において、清掃ロボットがエレベーターやセキュリティドア、フラッパーゲート、入退館システムを連動させ、ロボットが各階フロアや居室を移動しながら清掃する。

 就業者向けフードデリバリーサービスの提供では、運搬ロボットが屋内外の飲食店舗からオフィスまで食事を運ぶ。「大手町フィナンシャルシティグランキューブ」で実施し、1月25日時点で7店舗が参加する。オフィスビルの顧客がスマホなどから弁当を注文。飲食店は、注文情報を基にして弁当を用意し、受け取りに来た運搬ロボットに格納し、顧客は運搬ロボットから弁当を受け取る。運搬ロボットの手配は、配送プラットフォームを介して行う。

 今回の取り組みでは、屋内配送ロボットが大手町パークビル1台とグランキューブに1台の計2台、屋外配送ロボットがグランキューブに1台、清掃ロボットが大手町パークビルに2台、グランキューブに2台の計4台を導入。一方、同社は、経済産業省のロボフレ環境整備事業に参画し、現在同社が導入しているロボット台数は100台を超えている。

5Gもロボフレ環境の一つ

 同社は5Gを今後のまちづくりに必須の社会基盤と位置付け、そのインフラを建設して複数の移動体通信事業者に提供する「5Gインフラシェアリング事業」に参入する。今後、5年で300億円を投入し、1000基地超のインフラ建設を進める。丸ビルにおいては既に第1号基地の建設に着手し、4月頃からNTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの4社にインフラを提供する。

 今後、大丸有エリアの複数のビルにインフラを整備し、エリア全域を5G化する計画だ。通信環境が整うことで、より幅広い種類のロボット活用が可能になる。「5Gもロボフレの環境の一つと認識している」(同社)と言う。