賃貸・管理 売買仲介

日管協 チェックシートやメニュー作成  管理業務の標準示す 報酬とのひも付け視野に

 日本賃貸住宅管理協会(塩見紀昭会長)は12月15日に記者会見を開き、管理業務の標準化に取り組む方針を示した。管理業務の内容は多岐にわたるため、指標となる業務内容を明記したメニュー表や業務チェックリストを作成し、会員の業務の質向上を図ると共に、将来的には管理物件のオーナーから受け取る報酬とのひもづけも視野に入れる。

 同協会によると、今年6月に賃貸住宅管理業法が全面施行され、「管理業者が最低限行う業務は示された。一方で業務の質向上の点では、より高度な管理業務の提供を行っていくべきと考えた」と言う。そこで、2段階の業務区分を設ける。1つ目、は業界団体として一定水準まで底上げすることを目的に、会員が守るべき業務を示した同協会標準「賃貸住宅管理業務メニュー(仮)」、2つ目が、より質の高い管理で、管理会社の目指す姿を示す「賃貸管理業務チェックシート(仮)」だ。

 管理業法で定められた業務を「初級」とした場合、「メニュー」は「中級」、「チェックシート」は「上級」のイメージだ。22年中の作成・公表を目指す。

 また、同協会は新たに「賃貸住宅メンテナンス講習(仮)」をスタートする。管理業務は、ソフト面(入居者対応)とハード面(建物管理)で構成されるが、管理業者の多くはハード面の管理を苦手としているという。管理業法において建物の維持・保全が管理業務として定義され、今まで以上に建物管理の知識・技能を身に付ける必要性が増している。講習では、建物の構造や設備、関連法令、長期修繕計画、建物・設備のメンテナンス実務などについて、eラーニング方式で行う。オーナーや入居者から問い合わせを受けた際に、一次対応できる基本的な知識習得を目指す。来秋をめどに実施する。

「人財ネットワーク制度」 再就職先を支援

 日本賃貸住宅管理協会は22年1月20日から、配偶者の転勤などで遠方に転居した後も管理業界で働きたい人と、経験者を採用したい企業をつなぐ「人財ネットワーク制度」を始める。同制度に登録した同協会会員同士が利用できる。再就職希望者は所属企業(制度登録会員)を通じて、次の就職先の紹介を受ける。年齢や性別、正規、非正規は問わない。定年後の再就職希望者や、経験豊富なシニア人材を採用したい企業の利用も想定する。

 登録や制度を利用する際、費用は掛からない。

 同制度は、同協会の女性部会であるレディース委員会が立案した。会員企業の中でも、配偶者の転勤や結婚、最近では親の介護などに伴い退職せざるを得ないケースが散見されるという。