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サンケイビル 大阪・本町にオフィス開業 最先端の機能や仕様を導入

 サンケイビルはオフィスビル「本町サンケイビル」(大阪府大阪市)を8月31日に竣工、9月1日に開業した。大阪屈指のビジネス街である本町地区に所在し、近隣では比較的大規模な新築オフィスビルとして訴求力を見込む。また建物仕様には健康への配慮や脱炭素化、地域活性化などを取り入れ、〝新時代のオフィスビル〟として西日本エリアの新たな重要拠点と位置付けている。

 「本町サンケイビル」は大阪メトロの本町駅から徒歩1分、御堂筋と本町通、中央大通に囲まれ鉄道・自動車道共にアクセス性に優れた立地。建物は21階建てで延べ床面積は2万9697.12m2。1フロア1113.62m2(約336坪)を擁し、小規模・築古の物件が多い周辺エリアでは比較的大規模な新築物件として注目を集めている。

 立地性や新規性、スケール感の優位性に加え、同ビルでは建物の企画や仕様にも工夫を凝らした。利用者のWell-beingを重視し、エントランスロビーに壁面緑化とLEDディスプレイを組み合わせた「モーション・グリーン・ウォール」を設置。自然の環境音や香りの演出と併せ、利用者がリラックスできる環境づくりを目指した。

 また階段の利用を楽しめるよう、各階に〝上った高さに応じたカロリー〟が分かるデザインを採用し、敷地内にシェアサイクルを導入するなど、積極的な運動を促している。更に、屋上空間はワークプレイスとして整備。フレキシブルな働き方や〝密〟対策を後押しし、テナントへの訴求力を高めている。

感染症対策や地域共生も

 屋上に限らず、現在も続くコロナ禍への対応は全館において強く意識している。ボタンに触れず操作できるエレベーターや、オフィスエリアの自動扉(通常の扉と選択可)などを導入。非接触で館内を移動できるシステムを整えた。また随所に高性能な機械換気システムや自動給気スリットなどを設け、換気性能の向上にも力を入れた。

 こうした仕様などから、同ビルは「CASBEE-SWO(スマートウェルネスオフィス)認証制度」の最高評価を取得。また省エネ・脱炭素化に向けた性能も高めており、国土交通省の「サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)」に採択されたほか、BELSの最高評価も取得している。

 ハード面の性能だけでなく、周辺地域との共生もテーマの一つに設定。エントランス前には外部の人も利用できるテラス空間「風のピロティ」を設け、その活用による周辺エリア活性化も目指す。同社関西営業部の三枝智次長は「行政との協議も踏まえ、近隣地域とのつながり強化やにぎわい創出にも取り組んでおり、入居テナントに限らずベネフィットを提供できる対応力を持たせた」と語った。

「十分なニーズ見込む」

 高性能な設備仕様に加え、「風のピロティ」や大型のエントランスなどに空間を割いていることもあり、賃料は相応の水準に設定しているという。とはいえ、三枝次長は「周辺相場より高額であっても、十分なニーズは見込める」と自信を見せる。

 実際に、幅広い業種の成長企業がオフィスの増床や拠点拡大を意図して入居していると言う。「いわゆる縮小移転のケースはゼロで、梅田方面から賃料削減目的で移るようなケースもない。主に本町エリアや近隣自治体の企業が、今後の成長を踏まえ、腰を据えた拠点として検討するケースが中心」と三枝次長は話している。

 同社は同ビル開発の経験や手応えを生かし、今後も「新しい時代に対応したオフィスビルづくりに挑戦していく」と方針を示している。