政策

五輪で入国増も「限定的効果」 和田観光庁長官が定例会見

 国土交通省観光庁は8月18日、観光庁長官の定例会見を開いた。同庁が同日公表した21年7月の訪日外国人旅行者数(推計値)は5万1100人で、新型コロナウイルスの影響を受ける以前の19年同月と比べて98.3%減(前年同月比1251.1%増)となった。

 前月から約4万人増加したが、同庁は東京五輪関係者の入国によるものと説明。他方、7月の出国日本人数は4万3000人で19年同月比97.4%減(前年同月比112.9%増)。和田浩一観光庁長官は「今後も国内外の状況を注視したい」と述べた。

 21年4~6月期の国内旅行消費額(速報)は1兆8091億円(19年同期比69.8%減、前年同期比80.1%増)となった。10 年の現行調査開始以降、4~6月期としては20年に続く低水準。この国内旅行消費額のうち宿泊旅行消費額は1兆2783億円(19年同期比71.9%減、前年同期比90.7%増)、日帰り旅行消費額は5308億円(19年同期比63.2%減、前年同期比58.8%増)となった。

 また、同期の日本人国内延べ旅行者数(速報)は6311万人(19年同期比61.5%減、前年同期比70.9%増)。同期における日本人国内旅行の1人1回当たりの旅行支出(参加費、交通費、宿泊費等含む)は2万8666円(19年同期比21.5%減、前年同期比5.3%増)となり、旅行単価が下落した要因として、団体旅行や長距離移動(交通費)の減少を指摘した。

 和田長官は「海外の五輪関係者入国による観光効果は限定的」との見方を示した上、「東京五輪という一大イベントで、可能な限り日本の魅力を発信できた。今後、日本政府観光局(JNTO)で検証し、インバウンド政策に生かしていく」と述べた。