所在地は、神奈川県足柄下郡湯河原町。有名な湯河原温泉のほか、海や山、自然に恵まれた落ち着きのあるリゾート地だ。
コロナで若年層が増加
昨年からの新型コロナウイルス流行で、住まいに対する意識が変わったといわれている。その一つが在宅勤務の普及で都心への通勤頻度が減少し、都心から離れても広い家に住みたいという郊外志向だ。湯河原でもその動きが見られるという。「従来から顧客層としては首都圏在住者の比率が高く、別荘やリタイア後の住まいを探す60代、70代が中心だった。ところが昨年からは30代、40代が増えた。やはりテレワークを機に、東京からの移転を考える人たちだ」と説明する。
そうした動きを受け、同社では1年前から、YouTube動画で物件紹介を始めた。移転希望者に在宅でじっくりと物件を確認してもらうためだ。YouTubeというツールが30代、40代の購入意欲を喚起し、成約率アップを後押ししているという。
現在、中古マンションや戸建て住宅の購入ニーズが増えたことで在庫は減少。ただ、「物件の価格が上昇するまでには至っていない」状況だ。
同社は高杉社長が、東京での不動産会社勤務を経て、地元に戻り、94年に立ち上げた。売買・賃貸の仲介や管理のほか、リフォーム、注文住宅建築まで幅広く事業展開しているのが特徴だ。
高杉社長は、「隣の熱海エリアを含めても4万人ほどの商圏であり、仲介のみ、管理のみといった限られた分野ではなく、不動産から建設まで総合的に手掛けなければ成り立たないと思った」と理由を話す。その思いは社名(エス・シーリビング)でも表現されている。「スペース(S)をクリエイト(C)する、不動産のショッピング(S)センター(C)」として顧客の要望に対してトータル的にサポートすることがモットーだ。今では、「売買」「賃貸」「建築」の3本柱がしっかりと成長し、会社を支えている。
ERAに加盟したのは09年6月。創業から15年が経った頃。「単独店舗であり、人事異動がないため、社内のメンバーはどうしても固定されてしまう。それは良い面もあるが、何か社内に刺激をもたらしたかった」と加盟の理由を語る。人材育成の面でも、限られた社員数では充実した研修を実施していくのは難しい。
加盟店間で切磋琢磨
「加盟することで他社の仕事のやり方を見せてもらい、非常に参考になった。研修会への参加を通じて他社を知ることは、社員にとっても刺激になっている。表彰制度があり、各加盟店が互いに切磋琢磨する土壌がある」と話す。
「湯河原は自然豊かで、温暖な気候。不動産活用としても非常にポテンシャルのある地域だ。今後も、不動産から建築まで手掛けている総合力という強みを生かしていきたい」