マンション・開発・経営

日鉄興和不 学生マンション事業に参入 ブランドと協業、22年に初物件

 日鉄興和不動産は22年春、初の学生マンション「リビオセゾン亀有」を東京都葛飾区で竣工、運用開始する。デザインや演出は、アダストリア(東京都渋谷区、福田三千男会長兼社長)の展開するファッションブランド「niko and…(ニコアンド)」が手掛ける。

 日鉄興和不は以前から経営計画などで学生マンション事業への参入方針を示しており、亀有で開発適地を取得したことが今回の物件開発につながった。

差別化のためのコラボ

 しかし、同社の猪狩甲隆常務によると、学生マンションは既に手掛けている事業者も多く、同社として初めて供給するに当たっては明確な差別化を図る必要があると判断。ワークショップを通じて現代の大学生のニーズを検討したところ、共用部のデザイン性向上が効果的だと考え、同ブランドとの協業を決めた。

 同ブランドはこれまでにも、18年に分譲マンション「リビオ錦糸町」の外観デザインやインテリアコーディネートを手掛けたほか、日鉄興和不の暮らし・住まい研究所「+ONE LIFE LAB(プラスワンライフラボ)」と共に寝具やインテリアオプションを開発するなど、コラボレーション企画で協業している。今回は両者のコラボ第3弾という位置付けとなり、同ブランドは「リビオセゾン亀有」のラウンジやエントランスなどの共用スペースのほか、居室内のインテリアや空間演出をプロデュースする。

今後の供給計画も

 「リビオセゾン亀有」はJR常磐線亀有駅から徒歩11分の立地。建物は鉄筋コンクリート造・7階建てで総戸数は98戸。22年2月に竣工し、同年4月に入居開始予定。専有面積は17.42m2で、家具としてベッドや机、冷蔵庫、洗濯機を備え、1階には共用キッチンを設けた。また任意契約の食事付きプランも導入。賃料は7万4500~8万4000円となる見込み。

 日鉄興和不によると、葛飾区ではこれまで条例により学生マンションが認められておらず、今回が初めてのケースだという。現代的なシェアハウスの要素に加え、従来の学生寮や下宿の進化版というコンセプトで、「人を集めたくなるようなコミュニティを目指した」(猪狩常務)プロジェクトだ。

 また同社は今後も学生マンションの供給を予定しており、「あと7棟程度は計画の準備がある」(猪狩常務)という状況。今回の物件の手応えを見ながら、引き続き同ブランドとの協業を続けていく構えを見せている。

 また「プラスワンライフラボ」としても〝ミレニアル世代〟や〝Z世代〟のニーズについてヒアリングを進め、そうした世代に向けた住まいや暮らしのあり方を提案していく方針だ。