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記者が解説 住宅新報web週刊ニュース記事(11月11日~11月17日)

Pick Up!

  • 三菱地所レジなどのタワマンが生物多様性保全の「ABINC賞」優秀賞
  • 「積水ハウス会」所属大工の技能大会、腕前競い仕事の魅力発信図る
  • 住友不がスタートアップのマッチング支援で第3回イベント実施

 1週間のランキング・トップ10から記者が気になる記事を3つピックアップしていきます。

 初めに、5位の「地所レジなど 武蔵小杉のタワマン 生物多様性配慮で優秀賞(2025/11/14配信)」をご紹介します。住宅・非住宅の区別なく、自然環境への対応は現在の不動産開発事業における重要項目と言えます。一般的に主軸とされるのは脱炭素化の分野ですが、生物多様性への配慮も重要ポイント。国土交通省の「優良緑地確保計画認定制度(TSUNAG)」でも、評価項目は「気候変動対策」「Well-beingの向上」、そして「生物多様性の確保」の3領域を柱としており、国としても生物多様性への配慮を推進していることが分かります。今回の「ABINC(エイビンク)賞」は、14年に開始した「いきもの共生事業所認証」(ABINC認証)取得施設の中でも特に優れた事例を表彰する事業で、今回で4回目の実施となります。今回の三菱地所レジと東京建物、東急、東急不動産による「ザ・パークハウス武蔵小杉タワーズ」は、敷地内の芝生広場や多様な植生の配置、水辺の散策路などが評価されました。なお、今回の「ABINC賞」では、「プラウドシティ小竹向原」(野村不動産、旭化成不動産レジデンスなど計3者)も優秀賞を受賞しているほか、特別賞には「(仮称)幕張新都心若葉住宅地区(B-4街区)」(三井不動産レジデンシャル、野村不、三菱地所レジ、伊藤忠都市開発など計7者)も選ばれるなど、両賞合計8施設が受賞しています。

 次に、3位となった「積水ハウス、自社会所属大工5000人の全国大会開催(2025/11/14配信)」です。同社グループ及び協力工事店の大工を対象とした大規模な技能選手権大会で、今回が第3回開催となります。出場者は全国から選ばれた計26人。イベントの主眼は、技術の切磋琢磨とその成果に対する表彰、それらの共有による所属大工全体のレベル向上です。更に、住宅建築技能者のイメージや魅力、社会的地位の向上を図ることも重要な目的でしょう。大工の〝人手不足〟は以前から叫ばれており、今後もそれは一層進んでいく見込みです。国も技能者確保へ向けた政策を展開していますが、やはりこうして現場の大工や事業者から「仕事の魅力」を発信していくことも、将来の住宅産業を支えるために重要で有意義な取り組みです。

 最後に、6位の「住友不『ベンチャーサミット』 スタートアップ企業支援 第3回新宿で、参加者最多 業種にこだわらず後押し(205/11/11号)」を取り上げます。住友不動産が3年目から実施しているイベントで、スタートアップ企業と、同社保有ビルのテナントや取引先とのマッチング機会として設けている場です。今回は過去最多の3000人が参加したとのことで、同社の注力具合と外部からの注目度の双方が高かった催しと言えるでしょう。イベント責任者で同社グロースサポート事業部長の藤島正織氏は、「当社ビル事業とスタートアップ企業はもともと親和性が高い」と述べていますが、オフィス事業は元来、あらゆる企業の〝成長の場〟を提供する事業。その特性を生かし、物理的な事務所スペースにとどまらず、スタートアップと大企業との双方が共創し課題解決を図る〝場〟を構築していくことも、不動産ディベロッパーだからこそ担える役割と言えるでしょう。もちろん、同社自身の収益拡大へ向け、オフィスの付加価値を高めてテナントに訴求していくことや、将来の優良顧客となり得るスタートアップとのネットワーク構築が土台ではあるでしょうが、順調にいけば同社とスタートアップ、テナント大企業の〝三方良し〟に加えて、我が国の経済全体にとってもプラスとなる試みのため、今後も継続的な開催が期待されます。

 

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