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脅威は世界の経済見通し CBRE投資調査 新型コロナで取引中止も

 CBRE(日本本社=東京都千代田区)は4月24日、日本の投資家による不動産投資戦略に関するレポートを発表した。これは「投資家意識調査2020」の結果に基づくもの。調査時期は19年12月16日から20年2月16日まで。回答者数は249件(日本を投資対象とする投資家。ほとんどが新型コロナウイルス対策のため中国・武漢市が封鎖された、20年1月23日よりも前に回答している)。

 日本の投資家は20年における三大脅威(複数回答)として、「世界的な経済の見通し」(71%)、「資産価格が割高と見られること」(47%)、「国内経済の見通し」(43%)と回答した。その一方で、取得意欲は依然として旺盛。「昨年より取得額が増加する」と回答した投資家の割合は44%を占め、前年の調査から13 ポイント上昇している。「売却額が増加する」と回答した投資家の割合は28%であり、前年から2ポイントの増加にとどまった(グラフ参照)。

 不動産価値に最も影響するテナントのニーズ(複数回答)として、「サステナビリティ」(37%)、「スマートビル」(36%)、「物流施設内の自動化」(31%)が選ばれている。企業の環境問題、社員のウェルネスへの関心の高まりが、不動産の投資判断にも波及し始めていることがうかがえる。

新型コロナで追加調査

 今回は新型コロナウイルスの投資姿勢に対する影響について、追加調査を実施した。これは20年3月下旬に日本の投資家に対して新たにアンケート調査を実施したもの。回答者数は95件。

 投資業務への影響について、41%の投資家が「影響があった」と回答した。そのうちの半分以上が「取引が中止・延期された」と回答。更に、そのうちの75%が、取引が延期された際の期間について「目途は立っていない」と回答している。

 一方、20年の投資方針への影響では、新型コロナの流行前に比べて「変わらない」という回答が62%を占めた。ただ、「取得額を減額する」は17%となり、「影響はわからない」は21%を占めた。投資対象物件で新型コロナ感染者が判明した場合、「適切な対応をとれば取引に問題ない」とする投資家が53%を占め、「わからない」の回答が34%に上った。

 最もマイナスの影響が小さいと見られるアセットタイプでは、57%が「物流施設」を、30%が「住宅」を選択。マイナスの影響が大きいと見られるのは「ホテル」が最も多く、回答率は98%となった。