政策

宣言拡大も長期戦の様相 安倍総理 「国民の一層の努力必要」

 4月7日に新型コロナ対策特措法に基づく「緊急事態宣言」が発令され、28日で3週間となる。この間、17日に当初7都府県だった同宣言の対象が全国へと拡大され、政府や地方自治体は様々な経済対策等を検討、公表。しかし依然として感染者は増え続けており、出口の不透明な状況が続いている。

 4月17日、緊急事態宣言の全国拡大に当たって会見した安倍晋三内閣総理大臣は、「新規感染者数はまだ減少に至っておらず、大変厳しい状況」との認識を示すと共に、「3月の3連休における緩み、都市部から地方への人の移動が全国に感染を拡大させた可能性がある」と指摘。5月の大型連休を前に、人の流れの制限を主な狙いとして同宣言の対象を全国へ拡大した。

 また安倍総理は、同宣言から2週間が経過した4月21日に、「最低でも7割、極力8割人との接触の機会を減らすよう要請しているが、まだ不十分な地域もあり、より一層のテレワーク等で協力してほしい」と重ねて求めた。

 続いて4月22日、政府は第30回の同感染症対策本部を開催。国内の累計感染者(PCR検査陽性者)は1万1496人(4月21日現在、クルーズ船事案除く)、死者は277人(同)に上るという状況が報告され、安倍総理は「より一層の国民の努力が必要な状況」との認識を述べた。併せて提示された同感染症対策専門家会議による分析と提言を見ても、人の移動の削減はある程度進んでいるものの、目標値には届いていない。感染の拡大も続いており、同宣言の期限である5月6日を越えて、長期的な対応が求められそうな状況がうかがえた。

赤羽大臣

「賃料問題への対応検討」

 同宣言に伴う外出自粛要請や、商業店舗等の営業自粛要請への対応は全国的に進んでいるものの、周知の通り、それにより飲食店などは事業収入が激減し、厳しい経営環境に置かれている。そして商業ビル等へのテナント賃料支払いが困難になるケースも多く、不動産賃貸事業者も難しい状況に直面している。

 賃料収入が減少、あるいは途絶えれば、特に中小規模の不動産事業者にとっては事業の存続に関わる。しかし既定の賃料に固執すれば、〝共倒れ〟にもなりかねない。そこで4月15日には、全国宅地建物取引業協会連合会が菅義偉内閣官房長官と赤羽一嘉国土交通大臣にテナント賃料への支援を要望した(本紙4月21日号1面既報)。

 こうした状況を受け、赤羽大臣は4月21日の会見で、このテナント賃料問題に言及。政府系および民間による実質無利子・無担保の融資を行うと共に、「これからの措置になるが、事業全般に広く使える持続化給付金(による支援)を実施して、テナント賃料の支払い等、事業継続が可能となるような応援をしていきたい」と語った。

 また、「テナント賃料の負担の問題については、国会でも様々な意見が出ているほか、この状況が長引くほど大変な状況になるので、我々もしっかりと現場へのヒアリングと注視をしながら、関係省庁とも連携して対応を検討していきたい」との方針も述べている。