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大言小語 月日の流れが早いのは

 今年も3カ月が過ぎようとしている。「あっという間に過ぎていくと感じるのは、齢を取るほど1年が年齢分の1になって、どんどん小さくなっていくかららしい」などと何の根拠もないことに納得している大人が多いように感じる。

 ▼月日が経つのを早いと感じるのは年齢のせいではなく、時代や社会環境のせいではないだろうか。今は大量情報消費時代。一人が発信する量の何億倍もの情報が洪水のように流れている社会だ。だから誰もが情報の洪水に飲み込まれ、あっという間に流されていく。自分で棹差して生きているという感覚に乏しい。

 ▼新たな年度は新元号を祝うムードや来年に迫った東京オリンピック景気で明るい年になるといいが、消費税率二桁時代への不安はぬぐいきれない。住宅市場への影響は手厚い対応策が取られたため最小限にとどまりそうだが、将来的には高齢化の進展と消費税率の上昇が続くと、現役世代の負担がますます重くなる。若い世代の住宅取得能力が減退を続けることにならないか心配だ。

 ▼月日が経つのを早いと感じるのが本当に大人だけだとしたら、それは情報化が進む社会の最前線で大人が必死で子供たちを守っているからだろう。齢を取るほど日々の感動が薄れるからだとか、成長していく子供時代と違い、毎年が同じことの繰り返しになっているからだとか、自虐的なことばかり考える大人のなんと多いことか。