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大言小語 人間って面白い

 将棋界に新星が現れた。将棋の世界では四段からプロとなるが、それを決める奨励会三段リーグが行われ、藤井聡太三段が昇段した。藤井さんはまだ中学二年生。14歳2カ月での昇段は、「神武以来の天才」と呼ばれた加藤一二三九段の記録を5カ月更新するもので、史上最年少のプロ棋士となる。

 ▼中学生でのプロ棋士は、加藤のほか、谷川浩司、羽生善治、渡辺明に次ぐ5人目。ちなみに前4人は、将棋界最高峰のタイトルである「竜王」か、将棋界最古のタイトルである「名人」に就いている。まさに前途洋々だが、本人は未だ力不足と自覚しているようで、おそるべしだ。

 ▼同じ日に、ちょっと恥ずかしいニュースもあった。プロ将棋の公開対局棋戦で「二歩」という反則があったというのだ。二歩とは、歩が存在する縦の列にもう一枚歩を打ってしまうこと。しかも、二歩を打ったのが郷田真隆王将。相手は佐藤天彦名人とタイトル保持者同士の一戦だから、面白いものだ。

 ▼はやりのコンピューターソフトやAIでは起こらないミスを高段者でも起こしてしまうのが人間だし、一方では一手一手に白熱した戦いを見せるのも人間だ。不動産の世界でもIoTやAIが花盛りだが、最後にはそれに携わる人間の魅力が、購入を決断させることもある。それに何より、CMではないが、家って人が住んでないとダメになってしまうから。