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大言小語 1本の電話

 過日、編集部に1本の電話が入った。「5月3日号の『大言小語』の内容に対して、反論を書きたい」。本紙連載コラム「賃貸現場の喜怒哀楽」の著者である坂口有吉氏からだった。男性と女性の育児の在り方における大言小語の内容に反論があり、連載コラムで書きたいといった電話だ。

 ▼どのような事柄に対しても、左右逆の意見は当然出てくる。そして、言うまでもなく「言論の自由」はある。メディアの責任として、一方的に悪い方向へと導く意見や主張などを掲載するわけにはいかないが、坂口氏の「反論」の概要を聞いてみると、一つの意見として尊重できる内容だった。

 ▼連載コラムの著者として、反論原稿をいきなり編集部に送ることはできなかったのだろう。事前にご連絡いただいたわけだが、当編集部としても快諾の意を伝えると、後日、「もの申す」といった題名で、大いに意見を語った原稿が送られてきた。

 ▼日本人はディベート下手だと言われる。自分の意見をなかなか表現しない、回りくどい、核心をズバリ突かない。しかし見方を変えれば、それが日本人特有の優しさ、奥ゆかしさにつながっているとも考えられる。

 ▼5月24日号に「反論」を掲載した後、坂口氏から再び電話があった。掲載へのお礼だった。さすが人気連載コラムの著者。舌鋒鋭い内容だけでなく、「配慮」もできる優しさ、奥ゆかしさも持ち合わせている。