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大言小語 負担減る「税」に

 昨年は、1年の世相を表す漢字に「税」が選ばれた。意外な感じもしなくはなかったが、消費税の引き上げと再増税延期のあった14年。発表されてみれば、誰もがうなづく妥当な結果だろう。

 ▼前の年の駆け込み以降引き続いた反動減が長引き、住宅市況回復の足取りは鈍い。住宅は高額なだけに、増税の負担感は重く、増税前に多くの人が住宅購入に駆け込んだのは無理もない。しかしながら、本来「増税」にせかされて買うものではないと感じた人がどれほどいたのだろうか。

 ▼「税」が選ばれた理由のもうひとつは、1月1日から課税拡大が始まった相続税だ。消費税ほどではないにしても、大きな「税」の網がかぶせられたことは間違いない。住宅会社が日刊紙に掲載した相続にかかわる新聞広告の反応は、以前の1.5倍にも増えているという。空き家の増加が社会問題としてクローズアップされる一方で、賃貸住宅の着工は高水準が続き、富裕層向けの高額新築マンションの販売も好調続き。消費税と並んで、相続の「税」も昨年の世相を色濃く表したのではないだろうか。

 ▼昨年は、負担が増す「税」に多くの人が財布のひもを引き締めた。一方で、年末の税制改正で贈与税の非課税枠拡大、法人税減税が議論され、来年度は減税の風も吹く。消費税の軽減税率導入も含めて、今年は負担が減る「税」に期待したい。