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大言小語 更なる渾身の力を

 2週続けて週末に降った大雪は、想定以上の影響を及ぼしている。栽培ハウスが倒壊し、野菜などに大きな被害が出た他、物流が麻痺したため、流通業も大損害を出した。不動産業界でも店舗や住宅展示場の客足が全く伸びず、好調だった業況にもやや暗い影が落ちてきている。

 ▼そんな雪害の中で嬉しいニュースもあった。大雪で孤立した山梨県に、新潟県の泉田裕彦知事が除雪車などを送ったのだ。特に、除雪に慣れた隊員の存在が大きかったという。山梨といえば、甲州武田信玄。新潟といえば、上越上杉謙信。まさに「敵に塩を送る」の現代版だ。また、長野県の柳田清二佐久市長は市民が除雪して欲しい場所をカメラに撮りツイッターで送るよう呼びかけ、迅速な除雪の一助となった。

 ▼こうした、地域のつながりで難題を解決していくことは素晴らしいが、発生から3年たった東日本大震災のような大災害には、それと共に国の力が必要だ。とりわけ、福島第一原発の事故が重なった未曾有の災害には、渾身の助成が求められるはずだ。

 ▼現に、安倍首相は原発事故からの復興には、東京電力だけでなく、国が前面に立って当たると述べた。そして、管理下にあるとも。汚染水漏れが日常茶飯事のように起こっている現状を見て、国が渾身の力を振り絞っていると思うだろうか。少なくとも、福島から避難した人には、いささかも見えないはずだ。