政策

大言小語 紹介拒否行為の禁止

 不動産流通機構は、宅建業者を介して売り物件と買い顧客を結びつけ、取引を促進する役割を担う。だが、買い顧客側に立つ業者が物件の元付業者に問い合わせると、「商談中」とか「担当者がいない」などの理由で、詳細事項の紹介や物件案内を拒まれるケースが目立っていた。背景には、元付業者が売主、買主双方から手数料をもらう「両手狙い」があると言われる。

 ▼関西地区で買い手側に立つ仲介業を展開する経営者から話を聞く機会があった。10数年前、不動産情報化の波に合わせて、他業界から脱サラして開業した。地域密着型で実績を伸ばしてきたが、次第に流通機構を活用した業務に「壁」を感じるようになった。「物件紹介を拒否されるケースが後を絶たない、というより増えている。共同仲介システムであるのに、おかしいのでは」と。

 ▼東日本不動産流通機構は10月からレインズ利用規程を改訂した。その中に「元付業者による登録物件の正当な事由のない紹介拒否の禁止」を新たに追加した。正当な事由とは(1)既に購入等の申し込みを受けていること、(2)売却等希望価格と購入等希望価格との著しい乖離、(3)売却等希望条件と購入等希望条件との乖離、(4)依頼者の意思|である。「商談中」は拒否の理由にならないということである。

 ▼この改訂が、同じエリアで不動産を営む関係者の心の中にあった、わだかまりを解消するきっかけになればと願う。