政策

社説 新年の課題 激動する市場に商機

 人口減少、少子高齢化、景気低迷、住宅取得適齢期といわれる30代の所得逓減など住宅・不動産業を取り巻く環境は厳しい。新たな経営理念、ビジネスモデルが求められているゆえんだ。

 特に仲介業は、インターネットの普及で誰もが不動産情報を簡単に入手できるようになったことから、単なる物件の紹介と契約事務だけでは『手数料に見合ったサービスが受けられているとは思えない』といった厳しい声が、消費者から寄せられている。

 不動産業が成長するためには、消費者が十分に納得するだけのサービスを提供していく努力と、新しい可能性を秘めたマーケットの開拓が欠かせない。

 

団塊世代のリタイア

 今年は、『団塊世代』のトップランナー(昭和22年生まれ)が65歳となり、本格的にリタイアし始める。

 しかし、その多くは心身共にまだ若く、気力も充実している。いわゆるアクティブ・シニアと呼ばれる『新人類』である。彼らがどのような消費行動や生活スタイルを追求するのかは未知と言えよう。

 分かっていることは、仕事・子育て・親の介護という3つの重荷から解放され(て、いる人たちが多く)、かつ比較的高額な年金収入もある。更には、ローンを完済したマイホームと、いくばくかの預金もある。このアクティブ・シニア向けの商品とサービスが不動産業界に不足している。

 年金補充を目的とした投資用不動産、田舎暮らしを体験するための住宅、趣味を楽しむための自宅改造など提案すべき商品は多彩だ。

 例えば田舎暮らし向きといっても個人によって様々なニーズがある。故郷の古民家、別荘・セカンドハウス、あるいは夏、冬など季節に応じたマルチハビテーション 更に、アジアなど海外不動産への投資需要も増加する可能性がある。

 

2つの登録制度始まる

 昨年は2つの新たな登録制度が始まった。

 賃貸住宅管理業者登録と、サービス付き高齢者向け住宅である。この両登録制度がどこまで普及するのかも、今後の不動産業界の活性化にとって大きな課題といえる。賃管登録業者は、空室対策、家賃滞納など課題山積の賃貸業界の再生を担う主役として期待したい。

 一方、サービス付き高齢者向け住宅はアクティブ・シニアから重度要介護者向けまでの幅広いニーズに応えられるかどうかが大きなカギを握っている。

 いずれにしても、不動産業界は今、激動するマーケットに商機を見つけなければならない大きな変革の年を迎えたようだ。