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リニア名古屋駅周辺で、用地買収に遅れ? 無秩序な小規模開発に見る、現状と課題

■期限が2年延ばされたリニア名古屋駅周辺の用地回収

2027年の開業を予定しているリニア中央新幹線だが、肝心の名古屋駅周辺での買収が遅れている。用地買収に当たっているのは名古屋市の外郭団体「名古屋まちづくり公社」。当初、2018年度末の完了を予定していたが、2018年12月も押し迫った時期になり、用地買収期限を最大2年延ばすことで、JR東海と合意したとニュースが流れた。

現地ではあちこちにこうした掲示が見られる

リニア名古屋駅は東海道新幹線や在来線と交差する形で、地下30mの深さに作られる予定。延長は約1km、最大幅約60m、面積は約3.5haという計画だ。
工事は地上から掘る必要があるため、用地買収が不可欠。そこでJRから委託された公社が地権者と交渉を進め、市も土地買収交渉の経験のある職員を派遣するなどしているという。

リニア名古屋駅のイメージ図

買収の対象となるのは、駅の東西にまたがる約2万3000㎡。各種報道を総合すると、現在は駅西側で5割超(件数ベース)を取得し、東側は「一部で契約を締結した」程度とか。かなり厳しい状況であることは間違いない。

西側の買収された土地から東側の高層ビル群を望む

とはいえ、現地にはあちこちに「JR東海管理地」と掲出された空地が誕生し、取壊し中の建物も見られる。遅れているとはいえ、進んでいることは確かだ。

小規模な飲食ビルなどが取り壊されていた

■駅西側の無秩序な小規模開発に見る、現状と課題

もうひとつ、一部で懸念されているのは、周辺の開発についてである。名古屋駅の西側はかつては駅裏(最近は駅西)と呼ばれ、百貨店や高層ビル群が建ち並ぶ駅東側とは全く異なる空気感のエリア。エリア内にある椿神社に「河童伝説」があることから分かるように、台地の少ない名古屋にあって、さらに低地である。

駅から西側を望む。さほど高い建物はなく、裏手に入ると昔ながらの商店も現存する

江戸時代までは笈瀬川その他、大小の河川が流れており、かつ戦災で焼け残ったこともあって、下町の雰囲気が残された地域ともいえる。古い場所だけに権利関係なども複雑なのだろうか、地元の不動産会社に聞くと、「あまり手を付けたくない地域」という声もある。

ところが、そこにリニア駅ができることになり、ここ1~2年で地価が上昇。今後はさらに上がっていくことが見込まれる。そして、せっかくリニア駅を当て込んで作るなら、「地域の価値をあげるようなホテルや商業施設を」という声も多い。

現地周辺ではいくつもの開発が進んでいる

しかし、現在進められている新築、建替えの工事現場を見ると、いずれも土地の区画、規模はこれまでと変わらず、ビジネスホテル、商業施設など、いずれもコンパクト。東口側のような大きく土地をまとめた、インパクトのある開発になっていない。

大きければいいというわけではないが、現状の小さな区画、細い路地を残したままで千載一遇のチャンスを迎えることを「もったいない」と見る向きも少なくない。リニア名古屋駅周辺、2027年の開通に向けて、乗り越えるべき壁は多そうである。

(参照:リニア名古屋駅周辺、用地買収に遅れ?無秩序な小規模開発に見る、現状と課題

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