投資

ARES×三井住友トラスト 不動産私募ファンド市場44.9兆円

 不動産証券化協会(ARES)は9月19日、「不動産私募ファンドに関する実態調査」を取りまとめた。三井住友トラスト基礎研究所と共同で実施したもので、今年7~8月に調査し、不動産運用会社155社から回答を得た。それによれば、不動産私募ファンドの市場規模は、私募リートとグローバルファンドを含めて44.9兆円と推計した。昨年12月末時点から約4兆円増加した。

 プロパティ別の投資額では、国内外の投資家とも「ホテル」「住宅」「データセンター」で「増加」や「やや増加」との回答が目立った。特に海外投資家はホテルに対して強気で「増加」と「やや増加」を合わせると60%に達した。

 海外投資家の属性としては、全てのエリアで「変化なし」が半数以上を占めるが、「中国(香港を含む)」と「中国・中東以外アジアでは、前回調査に続き「やや増加」が3割前後を占めている。半面、中東は慎重姿勢に傾いている。

 海外投資家が日本の不動産に投資する理由は、「イールドギャップにより相対的に魅力が高い」と「政治的・経済的な安定性が高い」が引き続き上位となった。最近の賃貸市場の好調を好感する回答も多かった。

 2025年上半期に物件取得したとの回答は68%となり、前回調査から5ポイント増えたものの、おおむね過去調査の平均的な水準。一方、上半期中に物件を売却したとの回答は38%となり、こちらも前回調査から6ポイント増加した。ただ、過去10年の推移から物件売却との回答割合は緩やかな低下傾向にある。

 現在運用中の私募ファンド数は1115本となり、22年7月調査以降増加傾向が続いている。一社あたりの平均運用ファンド数も13.1本と前回調査の 12.7本から増えた。運用期間は「5年以上7年未満」(29%)が最多となった。一方で、7年以上は前回の52%から42%に減少した。運用する物件タイプは、オフィスが39%で最も多く、住宅、商業、物流と続いた。

 向こう1年以内に組成予定のファンドで、運用スタイルを見ると、コアタイプが6割超と依然として最多となった。前回比では、バリューアッド型が減り、開発が増加した。投資する物件タイプは分散化が見込まれるという。投資エリアは、東京23区と首都圏の合計で68%を占めている。