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マンション専有部分のリフォームに関するスペシャリスト

マンションリフォームマネジャー
最近、「中古マンションを買って、入居前にフルリフォームした」という話をよく聞きます。マンションの取引等に携わる方にとっても、マンションリフォームの基礎知識は、もはや必須と言っても良いのではないでしょうか。
マンションリフォームマネジャーは、主としてマンションの専有部分のリフォームについて、管理組合や施工者などと協力・調整しながら、居住者に付加価値の高いリフォームを企画・提供する能力を持つ資格者です。
受験資格はなく、どなたでも受験いただけます。また、登録制度はなく、試験に合格すれば、マンションリフォームマネジャーの称号を使用することができます。
2020年度の試験日は10月4日(日)。試験内容は学科試験(マンションリフォームに関する専門知識、四者択一50問120分)と設計製図試験(マンションリフォームのプランニング1問180分)がある。
2019年度より、学科試験または設計製図試験を1科目ずつ受験できる。
試験対策として参考図書「マンションリフォームマネジメント実務必携」が出版されているほか、マンションリフォーム推進協議会(REPCO)が主催するMRM試験対策講座(札幌、東京、名古屋、大阪、福岡・8月~9月開講予定)等がある。また、過去の試験問題などもホームページで公開されている。
マンションリフォームマネジャーの具体的業務内容
マンションのリフォームは、戸建て住宅とは違った様々な課題があります。
「ルーフバルコニーに温室を作ってほしい」といわれたらどうしますか。まずできません。個々の法令制限や管理規約にもよりますが、バルコニーなどには工作物設置禁止の規約が結ばれていることが多いようです。
マンションリフォームマネジャー試験は、このような、マンションに関する基本的な法令、技術的留意点などに関する知識等を広く問うものであり、この資格を有することは、マンションリフォームに関する全般的な能力を有すると認められるといえるでしょう。
国土交通省の定めるマンション標準管理規約には、「管理組合は、専門的知識を有する者に対し、相談したり、助言、指導その他の援助を求めたりすることができる」と記載されています。
この点について、国土交通省は、「マンション標準管理規約コメント」において、「管理組合が支援を受けることが有用な専門的知識を有する者としては、マンション管理士のほか、マンションリフォームマネジャー等の資格取得者などが考えられる。」と説明しています。(引用はそれぞれ一部抜粋)
このように、マンションリフォームマネジャーは、マンションの管理における場面においても、信頼を寄せられる資格といえるでしょう。
活躍できるフィールド
分譲マンションのストック戸数の推計値は、2018年末に650万戸を超え、建築後相当の年月を経たマンションが急増し、それらの維持管理が社会的な問題となる一方で、近年中古マンションの市場は需要拡大している。2016年以降、首都圏の中古マンションの成約件数は新築分譲マンションの供給数を4年連続で上回っている。 また、2018年4月より、建物状況調査(インスペクション)の活用等を内容とする宅地建物取引業法の一部改正や「安心R住宅認定制度」による中古住宅の流通が開始され、中古マンションは益々重要視されてきている。
マンションリフォームマネジャーは、リフォームを希望する居住者に対するアドバイザーという業務と、実際のリフォームにおける各種調整、マネジメント業務を軸に、多岐に渡る活躍の場があります。
リフォームをしたいと思われる方は確実に増えていますが、必ずしも十分な知識を持っている方ばかりではありません。
マンションリフォームマネジャーは、その専門的知識をいかし、お客様の意向をくみ取り、マンションリフォームの企画、立案から建物の調査、機器の選定、デザイン、さまざまな相談ごとへの対応など、広くユーザーの立場に立って、リフォームに関するアドバイス、支援をします。
また、マンションのリフォームは、建物全体との調整が重要になる場合があります。専有部分と共用部分の区分について調整が必要となる場合や、共用部分の詳しい状態を把握しないと専有部分工事が行えない場合も発生します。
マンションリフォームマネジャーは、このようなケースにおいて、建物全体の状況を考えた調整、リフォーム全体のマネジメントを担うことを期待されています。
マンションリフォームマネジャー資格者の勤務先は、リフォーム専門会社、マンション・ビル管理会社、設計事務所、工務店、住宅設備機器・建材販売業、不動産取引業、マンション分譲会社等、多岐に渡っています。活躍できる場面は、今後とも増えていくことでしょう。
試験日程 (2020年度)
願書配布期間 | 7月1日(水)~8月31日(月) |
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申込期間 | 7月13日(月)~8月31日(月) |
試験日 | 10月4日(日) |
合格発表 | 12月11日(金)予定 |
※詳しくは試験機関にお問い合わせください。 |
試験データ (2019年度)
受験者数 | 415人 |
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合格者数 | 129人 |
合格率 | 31.1% |
受験料 | 学科+設計製図試験 14,300円(税込) 学科試験または 設計製図試験のみ 11,000円(税込) |
実施団体 | 公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター |
住宅新報からワンポイント
中古住宅が見直されている今、特に中古マンションはリフォームを前提に購入される方が増えており、購入者への適切なアドバイスを送れるマンションリフォームマネジャーの存在は高まっています。
試験には設計製図の分野もあり、一般の方には難しいそうに思えますが、マンションリフォーム推進協議会等3団体による試験対策講座も開かれているなど、試験対策の環境も整っています。