住新記者のひとりごと

12協議会誕生の裏舞台

異業種連携促す場

 中古流通促進に向けて全国12カ所で設置された、地域の宅建業者や建築、鑑定業者などで構成する協議会を追った連載、「12協議会の流通改革」が住宅新報4月16日号で、最終回を迎えました。

 この協議会とは何か。一言で言うと、中古流通市場のプレーヤー同士の異業種連携を促す場。将来的には、新たなビジネスモデルの確立が期待されています。活動は、国土交通省不動産業課の支援で成り立っており、12年度末で1年目の活動を終えました。連載では、12協議会それぞれの1年間の取り組みを紹介しています。

 ここでは、協議会の立ち上げから、遡ること約1年。協議会を支援することになる国交省不動産業課の11年夏頃の動きを振り返りたいと思います。差し詰め、「12協議会の流通改革〈ゼロ〉」といった所でしょうか。

 役所の夏は、翌年度の政策を行うため、財務省に対して行う概算の予算要求をまとめる季節。つまり、翌年度にどういった政策を行うのかの概要を固める時期です。当時(今もですが)、国交省の住宅・不動産業行政は、中古流通拡大をどう果たすかが一大テーマでした。10年に前政権がまとめた、新成長戦略の中には20年までに中古・リフォーム市場を20兆円に倍増する目標が掲げられ、国交省では、倍増に向けた具体策の検討が続いていました。

 その中で、宅建業者を所管する不動産業課としては、中古流通の現場で、消費者の窓口になる宅建業者を後押しするための策を考えていました。

市場のキープレーヤーに

 これは余談ですが、当時の担当官に、「連載〝問われる提案力〟の4回目が掲載された新聞を貸してもらえないだろうか」と聞かれたことを覚えています。〝問われる提案力〟は中古住宅仲介を行う不動産業者にとって、物件情報を右から左へ流すだけでよいのか、仲介に合わせて、リフォームをはじめとする各種サービスの提案が必要ではないかという問題意識のもと、5回(住宅新報11年6月28日号~7月26日号)に分けて連載したものでした。どうやら、コピーしていただいていたうち、4回目だけ失くしてしまったようです。

 「宅建業者の方には、提案力を強化して、市場のキープレーヤーになっていただきたい」。この言葉をよく口にされていたので、新聞で指摘したことと、同じ問題意識を持っていたと思われます。もう1つ、「いかに地域の事業者の取り組みを促すか」という声も聞かれていました。政策を考える上で、中小事業者の支援や、地域それぞれの取り組みというものもテーマでした。

 こうして出てきたのが、地域の宅建業者を中心とした事業者間連携を行う協議会を全国数か所で発足してもらい、支援するという政策です。約1億円の予算が計上されたことで、12協議会は生まれました。

 12協議会の活動が1年目を終え、やはり、異業種連携を進める難しさは聞かれます。協議会の支援は、国交省13年度予算にも盛り込まれており、活動は2年目に入ります。適切な連携を促す宅建業者のキープレーヤーとしての役割に期待したいところです。 (編集部Y)