総合

大言小語 複合的な解決を

 国連環境計画が掲げた今年の「世界環境デー」のテーマは、「プラスチック汚染をなくそう」だった。アキュラホーム(現AQグループ)がカンナ掛けによる薄削りをヒントに、薄く削った木材を斜めに巻き上げた「カンナ削りの木のストロー」を開発したのは、コロナ前だった。取材時に初めて目にした時は、〝その手があったか!〟と思わず膝を打ったものだ。これぞ、〝コロンブスの卵〟では、と思ったのは個人の錯覚などではなかったようで、木のストローは第29回地球環境大賞農林水産大臣賞など、多くの賞を受賞した。

 ▼日本でプラスチック問題が顕在化したのは、確かイルカなどの海洋生物によるプラスチックの誤食が知られるようになったきっかけだったはずだが、海外では陸上でも同様の問題が顕在化しているようだ。インドでは妊娠中の牛の胃からプラスチックや釘など71キロものゴミが摘出され、後に胎児ともどもその牛は死んでしまったというニュースを見かけた。どうやらインドでは野良犬ならぬ〝野良牛〟も問題化しているようだ。ヒンズー教では牛が神聖視されていることが、裏目に出てもいるらしい。

 ▼木のストローはプラスチックだけでなく、国内の森林管理や間伐材の有効活用、更には高齢者や障がい者への雇用創出といった、多方面の課題解決に有効な点でも一石を投じていた。必要なのは、問題同様、複合的な解決策なのだろう。