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酒場遺産 ▶15 東京・蒲田西口 まち呑み 湯上がりにディープに酔う

 前回の「野毛」に続き、まち呑み(街の歩き吞み)である。今回は蒲田西口だ。 蒲田駅はJR京浜東北線と東急池上線と東急多摩川線、そしてJR駅から東へ10分ほど歩くと京急蒲田駅があり、羽田空港線へと分岐する。以前は羽田空港から早朝便に乗るために、よく蒲田のホテルで一泊し、これ幸いと飲み歩いたものだ。

 JR蒲田駅を西口へ降りると目の前にサンライズ蒲田とサンロード蒲田の昭和風情たっぷりのアーケード街が目に入る。このふたつの通りと東急蒲田駅高架沿いのバーボンロードは、この一帯に独特の魅力を醸し出す。先日、友人たちと蒲田「まち呑み」に出掛けた。少し趣旨を変え、商店街を離れて住宅地を徒歩10分ほどの「はすぬま温泉」へ。湯につかってから飲もうという魂胆だ。創業80年の天然温泉だが18年にリニューアルされた。木の内装は居心地よく、浴場タイル画も山河を描いた迫力のあるもの。温泉と言えども銭湯料金500円で入浴できる。

 湯につかりリラックスしたところで、再びバーボンロード辺りへ。まずは立飲み集会所「日本酒人」、店主の拘りは半端でない。嬉長・月桂冠・森嶋・万齢・七本槍・七田など厳選50種の日本酒、そして鶏レバ・いぶりがっこ・酒盗・雲丹入り塩辛・きびなご唐揚げ・サバ冷燻などの小皿が抜群に美味い。しかも安い(日本酒330円から、小皿110円から)。酒飲みには堪らない店だ。 次に向かったのは立吞処「やまとや」、燻製牡蠣オリーブオイル漬が最高。シメは「平壌冷麺」。飾り気のない店だが、甘みを抑えたマッコリ酒と透明感のある冷麺は実に美味い。温泉も入れ4軒梯子で5000円ほど。ディープ蒲田に酔いしれる。     (似内志朗)