売買仲介

買取再販「ワンリノ」で急成長 今期 売上高50億円へ エンリード不動産 金融機関の信用もFC加盟でアップ

 中古住宅市場の厚みが毎年増していく中で、買取再販事業を今後の商機ととらえる。エンリード不動産(東京都港区、工藤陣平社長)は19年4月に設立したばかりの新興企業だが、今期(23年3月期)の売上高としてリノベーション再販事業で前期比2倍以上の50億円を計画する。既に30億~32億円分の区分マンションを仕込み済みで、10月までに残りの仕込みを終える予定だ。販売目標は100戸に設定している。

 急成長の原動力について工藤社長は、「中古マンション買取再販でFC事業を展開するエフステージ(東京都文京区、藤島昌義社長)のノウハウを生かせていることが大きい。同社のセミナーなどで勉強をしていくうちに一緒に仕事をしたいと思った。独立前に所属していた不動産会社で買取再販事業の経験は10年あるが、それ以外の会社を経験していなかったので勉強になった」とFCに加盟した理由を話す。

 エフステージでは、中古マンション買取再販事業で成功したい企業を総合的に支援する買取再販特化型のフランチャイズ事業を19年3月から「Oneリノ(ワンリノ)」のブランドで展開し、東京を中心に首都圏の中古マンションを仕入れて消費者に提供するというネットワーク構築を進めている。

 ワンリノに加盟した成果については、「金融機関からの信用が上がり、融資を得られる金融機関の枠が広がった。加盟店向けの支援ツールである営業管理システムは分析に欠かせない。売主データシステムは査定に欠かせない。横のつながりも増えた」(工藤社長)と実感する。

 一方、エフステージは、「当社のノウハウを生かしてもらい伸び盛りの会社で期待している」と評価する。

 エンリード不動産は、豊島区、文京区、台東区、杉並区、中野区、大田区、品川区、目黒区など都区部を中心に事業展開しているが、東京で一番のシェアを目指している。

 仕入れ物件は50m2以上のファミリーが中心だ。マンションの取引価格が高くなっているので一時期のようなひっ迫感からは落ち着き感があるが、コロナ禍で広めの住戸を選択する人が増えているのが特徴だという。購入層の属性として年収600万円以上、年齢は30代~40代が中心になる。

 今後の展開について、将来的には区分にとどまらず、一棟マンションと戸建て住宅のリノベーションを手掛けたいと考えており、中長期的には支店を出すことを視野に入れている。スタッフの拡充も進める。来年4月に入社する新卒も内定しているほか、既に社内には他業界経験者が活躍していることで中途では経験を問わず採用していく。

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 くどう・じんぺい=今年1月に娘が生まれ、休日は家族と買い物などで過ごす。31歳、福岡県出身。