決算

用地、資材の高騰で低調傾向 準大手・中堅デベ23年3月期第1四半期決算 計上時期ずれ多く通期予想は維持

 8月半ばに入り、準大手や中堅ディベロッパーの23年3月期第1四半期決算が出そろった。半数程度の企業が減収減益で、全体としては低調な傾向が見られる決算となった。特にマンション開発を主力とする企業では、事業用地や建設資材、労務費などの高騰による影響の大きさがうかがえる。同時に、物件の引き渡しタイミングの関係で売り上げの計上時期がずれたことをマイナスの主要因として挙げるケースも多く、通期予想については各社とも維持している。

 長谷工コーポレーションは増収ながら、「一般管理費の増加、資材労務費の上昇で利益率が減少」したほか、海外関連事業での営業損失拡大などにより減益。また日神グループホールディングスは、「地価の高止まりや建築資材の高騰等、事業環境は厳しいものとなっている」と説明しており、今期は増収ながら営業損失を計上している。このほかにも、事業用地の高騰や取得の困難化、資材価格の上昇を大きな課題として挙げている企業が多く見られた。

 一方で、減収減益となった企業のうち、コスモスイニシアやFJネクストホールディングス、フージャースホールディングス、明和地所、新日本建物などは、マンション等の引き渡し戸数減少の影響が大きい。ただし、不動産開発事業では引き渡し時に売り上げを計上することが一般的であり、その時期のずれによるものという見解の企業が多い。サンウッドの場合は、前年同期に引き渡し物件がなかったことから、反動で大幅な増収増益となっている。

 そのため、今期はマイナスながら「契約進ちょくは順調」(コスモスイニシア)、「(契約済物件の)未引き渡しによる売り上げ未計上が多い」(プロパティエージェント)など、通期業績予想に対する影響は低いとする企業が多く、期初の通期業績予想は各社とも据え置いている。

実需層は堅調な需要

 またエスリードは、「底堅い住宅需要に加え、出口戦略として国内外の機関投資家などの選択肢が増えたことから、マンションの販売・引き渡しが好調に推移した」として大幅な増収増益。ゴールドクレストは「実需層を中心とした堅調な需要」を背景に増収増益としつつ、通期では減収減益の見通しを維持した。

 非住宅分野が主力の企業では、サンフロンティア不動産と平和不動産が減収減益ながら、いずれも前期の比較的大規模な物件売却収入に対する反動減としている。京阪神ビルディングの場合は、前期の不動産取得税負担からの反動と有価証券売却益により大幅な増収増益となった。

用地仕入れに競争力の差

 全体を見渡すとマイナスの決算が目立ったものの、各社とも足元の事業が低迷しているという印象は受けない。とはいえ、土地価格等の高騰が今後も開発事業に多大な影響を及ぼすのは避けられないため、用地仕入れの結果が一層競争力の差として現れていきそうだ。

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